ビジネス

2016.08.31

アマゾンのストリーミング事業が失敗する3つの理由

Photo by Rachel Murray/WireImage

先週、アマゾンがスマートスピーカーの「エコー(Echo)」向けに音楽ストリーミングサービスをスタートするとの噂が流れ、大きな話題を呼んでいる。このニュースが事実だとすると、月額料金は競合サービスの約半額の5ドルで、消費者にとってはかなり魅力的なサービスに思える。しかし、エコーでしか音楽を再生できないとなると失敗する可能性が高い。以下にその主な理由を3つ紹介する。

オフライン非対応

かつて、我々はレコードプレーヤーやCDプレーヤー、ラジオを使って家でくつろぎながら音楽を聴いたが、現在では多くの人がスマートフォンで音楽を楽しんでいる。今年初めに行われた調査によると、スマートフォンを所有するアメリカ人の68%が、1日に最低1回はストリーミングサービスを利用して好みの曲を聴いているという。

アマゾンの新サービスが家の中でしか利用できないのであれば、お金を払ってまで利用したいと思う人の数は限られるだろう。恐らくアマゾンはモバイルユーザー向けにオフライン対応のサービスも計画しているだろうが、その場合の月額料金は5ドルでは済まないはずだ。

「エコー」の普及台数

アマゾンは多額の費用をつぎ込んでエコーの普及に取り組んできた。調査会社Consumer Intelligence Research Partnersによると、発売開始からわずか1年強で販売台数は300万台を突破したという。

この実績は大いに評価できるものだが、エコー限定の音楽ストリーミングサービスを立ち上げるには少なすぎる台数だ。仮に300万人全員が利用したとしても、ユーザー数は音楽ストリーミング業界で最も少ないTidalに肩を並べるのが精いっぱいで、スポティファイやアップルミュージックには遠く及ばない。

大手音楽ストリーミングサービスとの競争

スポティファイやアップルミュージックなどの大手はユーザー数を拡大しており、新規参入サービスが追随するのは困難な状況だ。恐らくエコーユーザーの多くもこれらの音楽ストリーミングサービスを既に利用しているだろう。実際、アマゾンはエコーをスポティファイプレミアムやパンドラ、TuneInをはじめ、自社のプライムミュージックに対応させたり、音声アシスタント「アレクサ」に話しかけてお気に入りのストリーミングサービスを利用する方法を紹介している。このため、エコーユーザーがアマゾンの新たな音楽ストリーミングサービスに乗り換える可能性は極めて低いのが実情だ。

編集=上田裕資

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