急速に進化するテクノロジーを企業はどう活用するのか?
■インターネット・オブ・エブリシング
高速インターネット回線の普及で注目されるのが、人や、あらゆるモノ・コト(Everything)をつなぐ「IoE」。これにより「従来にはないボトムアップの大変革が起きる可能性が高い」と出口教授は話す。例えば工場では、実際の製造プロセス管理と原価計算、製品ライフサイクル管理を融合するような絶え間ないカイゼンが可能になるという。その一方で、既存業界の垣根を越えた“越境バトルロアイヤル”が起きると予想され、より強いリーダーシップが求められるようになる。
<パネリスト>
・出口弘/東京工業大学 情報理工学院知能情報コース 教授
・津呂尚樹/シスメックス ソリューション推進本部 ネットワークソリューション推進部 部長
・村田聡一郎/SAPジャパン インダストリークラウド事業 統括本部 IoT/IR4 ディレクター
・今井俊一郎/ロード・ジャパン・インク マーケティング 営業本部 シニアマネジャー
・一山正行/PwCコンサルティング ディレクター
<モデレーター>
・松崎真樹/PwCコンサルティング パートナー
■意思決定
会議における意思決定や経営判断を、AI(人工知能)に任せられるかー。経営におけるDecision(意思決定)を、サイエンスやテクノロジーがどこまで支援、代替できるか、仕組みづくりや活用法について議論された。東北大学大学院の乾教授は、この問いかけに対し「機械学習やAIは、パターン・マッチの領域を出ていないため、戦略レベルの長期的判断は難しく、責任を負わせることはできない」と話す。一方、パネリストからは現状での実際の活用事例も紹介された。
<パネリスト>
・乾健太郎/東北大学大学院 情報科学研究科 教授
・河本薫/大阪ガス ビジネスアナリシスセンター 所長
・西脇資哲/日本マイクロソフト エバンジェリスト・業務執行役員
・西内啓/データビークル 取締役
・勝山公雄/PwCコンサルティング シニアマネージャー
<モデレーター>
・矢矧晴彦/PwCコンサルティング パートナー
■サイバー攻撃
IoEやAIは、高いビジネス効果が期待される一方で、新しい脅威やリスクにも直面している。サイバー攻撃分野の有識者は「すべての製品に脆弱性がある」と指摘する。AIなどの新技術をビジネスに応用する際、不適切な発言や、予期せぬ事態の発生は企業にとってのリスクとなる。一旦機能を停止した後に、どこで再開の判断をするかについての基準も必要だ。「事業継続性」のリスク、「誰の過失と責任になるか」という法的問題には、まだまだ議論の余地が残っている。
<パネリスト>
・大井哲也/TMI 総合法律事務所 弁護士
・須田真也/アステラス製薬 情報システム部長
・ジュゼッペ・コバヤシ/シマンテックコーポレーション(US) 日本担当チーフストラテジーオフィサー
・名和利男/PwC サイバーサービス 最高技術顧問
・星澤裕二/PwC サイバーサービス 最高執行責任者
<モデレーター>
・山本直樹/PwCコンサルティング パートナー
■エンタープライズ・テクノロジー・マネジメント
テクノロジー抜きには企業活動を維持できなくなる中で、未来の社会を変革するテクノロジー・マネジメントについて意見交換がなされた。特に大きなテーマとなったのが、人材育成と、パートナー・リンクだ。新技術を社内に取り入れ、競争力を強化するためには、自社の事業と高度な技術を熟知した人材が必要だという。パートナー・リンクについては、全体像を把握して進むべき方向を描き、“水先案内人”として導くパートナーとの連携の重要性が指摘された。
<パネリスト>
・桑本謙介/日本ヒューレット・パッカード ビジネスデベロップメントマネージャー
・唐木明子/PwCコンサルティング Strategy & パートナー
・豊國成康/PwCコンサルティング パートナー