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2016.08.30 07:00

現代のゴールドラッシュ「シリコンバレーの繁栄」が若者らを魅了する理由

Maglara / Shutterstock.com


しかし、こういった夢想的な話をあざける人もいる。シリコンバレーが生み出しているもののほとんどは先進国の人々にしか利益をもたらさないという主張もある。ヴァニティ・フェア誌は「(サンフランシスコの)テックカルチャーが解決しようとしているのは、母親にやってもらえなくなったことをいかにしてやるかだ」と表現した。地味なインフラに労力を費やすよりも、くだらないアプリを開発して儲けるエンジニアのほうが多いというのだ。
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さらに期待とは裏腹に、シリコンバレーの労働環境は良いとは言えない。多くの従業員がウォール街のような厳しい長時間労働を強いられており、若い段階で健康上の問題を抱える人も増えている。そしてスタートアップのほとんどは失敗に終わるという現実もある。シリコンバレーの実力主義的精神も怪しいものだ。

大手テック系企業の従業員のほとんどが未だに高学歴の白人男性だ。ロイターが行ったスタートアップの資金調達に関する調査によると、2年間で大手ベンチャーキャピタルが出資した相手の80%近くに学歴やキャリア上のつながりがあった。

シリコンバレーに対するこういった批判は以前からあったように思えるが、テクノロジーの進歩におけるハブと言われるほどになったのは比較的最近だ。シリコンバレーの名前の由来は1950年代中盤にこの地域に半導体メーカーが集まっていたことだ。この時代には国防総省もテクノロジーの軍事利用をもくろんで資金を出していた。その後ベビーブーマーが支えた70年代に主役はスタートアップやベンチャーキャピタルに移っていった。その推移は80~90年代にX世代が中心となり始めてから加速して“反逆児が一発勝負に出る”というイメージがついたが、これはミレニアル世代により覆されようとしている。
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最近よく聞くのは若者が起業に関する学位を得て巨大企業に就職するという話だ。ミレニアル世代によるシリコンバレーの見方は、昔に立ち返ると同時に新しい方向も示している。ミレニアル世代の若さへの傲慢なまでの自信はベビーブーマーたちを思い起こさせる一方、ベビーブーマーとは違ってモラルの追求は時間とエネルギーの無駄だと考えている。最も近いのがチームワークをよしとした50年代の世代かもしれない。彼らは何でも大掛かりに進める傾向があり、強い熱意でアメリカの物理インフラを改良した左脳中心のビルダーと言える。ミレニアル世代がこの世に何を残すのかはまだ分からないが、その中心にシリコンバレーがあることは間違いないようだ。

編集=上田裕資

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