「実行」を伴わせる
リストラは変化に向けた「戦略」だ。「戦術」ではない。多くのリーダーたちがリストラを実行する際に見落としてしまうのが、戦略を実際の行動に結び付る必要があるということだ。企業内の「行動形態」を重視することが非常に重要なのはこのためだ。
また、リストラには実行可能なプロセスと、成功を継続的に維持可能にするための「成功の基準」、「成功の追求」、「間違いからの学習」に関する明確な測定基準が必要だ。「行動形態」を重視するのが重要なのは、このためでもある。
「計画的に」進める
リーダーたちは、それが不可避な事態に陥る前に、自ら変化を起こさなければならないとされる。そしてリストラによって、自社を知力と敏しょう性、強さ、指揮系統を備え持ち、将来に世界規模で発生する衝撃波も乗り越えられる企業に変えなくてはならない。
ただ、学習を可能にするツール(システムやプロセス)を持たない限り、従業員を一つの場所から別の場所へと異動させても、何にもならない。
また、うまく行っているときに構造改革を行おうと考えるリーダーはほとんどいない。リストラは、企業の妥当性を維持するために行うものだが、その際にも、何を重視するかが重要だ。構造改革を実施しても、すぐに成功を手に入れられる訳ではない。その点を理解し、「ショートゲーム」は効果的ではないことを認識しておく必要がある。
「椅子取りゲーム」にしない
企業が現時点で直面する課題に対応するためのリストラは、予見できない将来の課題に対応するものではない。今すぐに、人を異動させることはもちろん可能だが、「正しい」行動を奨励するためのコミュニケーションや意思決定プロセスが伴わない異動であれば、その後も同じことが繰り返されるだけだ。
構造改革が簡単に実行できるケースなどない。関与する全ての人たちに過度のストレスを負わせ、大きな苦痛を与えるものだ。企業にとっての真の問題が「構造」ならば、構造改革は有効な策だろう。だが、必要なものが「明確化」や「情報共有」なのであれば、変える必要があるのは「行動形態」であり、「構造」ではない。