出版社のウェブサイトには次のような説明がある。「私たち女性にとって重要なのはより賢く働くことであり、自分が満足する人生を送るためにキャリアとプライベートを融合させることです」
そのイヴァンカに、学生たちを“タダ働き”させている疑惑がもちあがった。彼女は学生インターンに給料を支払わずにコピーライティングや雑多な業務をさせているようだ。この件が発覚したのは、インターンの1人が7月に書いたブログのリンクを、イヴァンカが200万人以上のフォロワーに向けてツイートしたからだ。
「無給インターンとして生活するコツ」と題されたブログを書いたのはコピーライティングを担当するインターン。イヴァンカの下で同じく無給で働く3人のインターンに対し無給で働きながらニューヨークで生活するコツをインタビューした。
このブログによるとマーケティング担当のインターンは「イヴァンカの下で火曜日から木曜日まで働き、金曜日、土曜日、月曜日はパートで働いて日曜日は休む」という。生活を成り立たせるコツは「副業として販売員や接客係として働いたり、企業に交通費や昼食代を支払ってもらえるか聞いてみたりすること」だという。
億万長者が学生インターンを食い物に
アパレル関連の年間の売上だけで1億ドル(約100億円)を超える億万長者のイヴァンカが無給でインターンを働かせているだけでなく、それを自慢しているということで、このブログはネット上で嘲笑の対象となっている。
フォーブスはイヴァンカの広報に対し、インターンを無給で働かせているか、もし働かせているのであればその制度が営利企業で働くインターンの賃金に関するニューヨーク州の規則に違反していないのかと問い合わせた。イヴァンカ・トランプのチーフ・ブランド・オフィサーは下記のような返答を寄越した。
「私たちはインターンの個人的な、またキャリア上の成長に熱心に取り組んでいます。それぞれのインターンの興味やキャリアの目標に応じて勉強になる機会を創出するべく努力しています。プログラムを終了したインターンが満足できるキャリアパスを選べるような経験を提供することが私たちの目標です」
この件でさらに注目すべきなのは、イヴァンカのブログに有色人種の女性のイラストが使われていることだ。スポーツ記者のDave Zirinは「黒人女性のイラストをつけて無償労働を称賛するとは、トランプ一家の見識は想像を絶するものがある」とツイートした。
近年は無給インターンらが企業を訴えるケースも増加中だ。出版社のコンデナストは無給インターンプログラムを廃止し、7,500人のインターンに対しそれぞれ700~1,900ドル、合計580万ドル(約5億8,300万円)を支払うことになった。
ニューヨーク労働局は、インターンや企業が営利企業で働くインターンに関する11項目の賃金規定を定めている。「インターンは正社員にとって代わる存在ではなく、正社員を増やす目的で雇われるべきではない」と労働局は述べている。