ビジネス

2016.08.26

サムスン、ストリーミング事業撤退で見えた「ラジオ型」サービスの限界

Ilya S. Savenok / gettyimages

サムスンは8月22日、2年前に立ち上げたストリーミングサービスの「ミルクミュージック」を9月22日に終了すると発表した。

サムスンはテック企業としては世界最大級だが、ミルクミュージックに関しては思い描いていたような実績を残せなかったようだ。サービス開始当初はオンラインや人気アーティストが出演するサウス・バイ・サウスウエスト(SXSW)などのイベントで積極的にプロモーションを行っていた。しかし、人気に火が付くことはなく、ユーザー数も伸びなかった。

ミルクミュージックが成功しなかった理由は、ユーザーがラジオよりもオンデマンドを好むようになったからかもしれない。ミルクミュージックのサービスは人気インターネットラジオのパンドラに似ている。パンドラではユーザーが楽曲やアルバムを選んで再生するのではなく、ユーザーが選んだアーティストに応じてパンドラ側が再生する楽曲を決める。

インターネットラジオはストリーミングの時代の幕開けに一役買ったが、今ではユーザーが聴きたい楽曲を選べるスポティファイやアップルミュージックの方に軍配が上がっているようだ。

ミルクミュージックの終了を決めたサムスンだが、ストリーミングには違う形でかかわっていくようだ。同社は「最高の音楽サービスをGalaxyデバイスに統合できるパートナー企業のビジネスモデルに投資するという戦略的判断に至りました。パートナーと協業することで、イノベーションを推進し、デバイスの売上を伸ばし、私たちの顧客に新しい体験を提供できると信じています」と説明している。

ミルクミュージックの終了は驚きではないが、ストリーミングに参入している競合大手と比べてサムスンは不利になるだろう。グーグルやアップル、アマゾン、マイクロソフトはすべて、人気の度合いに違いはあるものの、ストリーミングサービスを提供している。サムスンは今のところ、ミルクミュージックを技術的に支えたSlacker Radioをユーザーに勧めるようだ。

サムスンは激戦のストリーミング業界において現時点では敗北したかもしれないが、今後違った形で再び参入するかもしれない。

編集=上田裕資

タグ:

ForbesBrandVoice

人気記事