アップル、健康データ管理Gliimpse社を買収 ヘルスケア強化の動き

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アップルが健康・診療データの管理を手掛けるスタートアップ、「Gliimpse」を今年初めに買収していたことが明らかになった。このニュースを最初に報じたFast Companyによると、今回の買収はアップルのデジタルヘルスチームが手掛けた初めての案件だという。

アップルは買収の詳細をメディアには語らず「我々は時おり小規模なテクノロジー企業を買収することがあるが、通常はその目的や計画については明らかにしない」という決まり文句を述べるに留まった。

Gliimpseは自社の事業を「ヘルスケアデータ・プラットフォーム」と説明しており、同社のウェブサイトには次のように記載されている。「当社は、医療情報を標準コード規格(LOINC、RxNorm、CPT、ICD、SNOMED)や用語に変換し、人間も機械も簡単に理解して活用できる技術を開発しました。例えるならばロゼッタストーンに刻まれた古代文字を機械学習を用いて解読するような魔法の機械です」

アップルはもともとiOS 10のユーザーがiPhoneを使って医師から診療記録を受信できるサービスを開発中で、Gliimpseが掲げる「簡単に使える医療データ用レセプタクル」というコンセプトが同社の戦略に合致したことが買収につながったと見られている。

Gliimpseの創業者の一人であるAnil Sethiは、妹が乳がんと診断されたことがきっかけで、共同創業者のKarthik Hariharanと共に自己資金で会社を立ち上げた。Sethiによると、Gliimpseのアプリを使えば異なる性質の健康データを一元管理し、医師や他のアプリと共有することができるという。アプリは一般ユーザー向けが無料で、エンタープライズ版が有料となっている。

スタンフォード大学のサイトによると、Sethiはこれまでに医療サービス大手のカイザー・パーマネンテと共同で、世界最大規模の患者向けオンラインポータルを設立した経歴を持つ。彼は2013年に公開された動画の中で、「ユーザーは、リンクトインのプロフィールのような、長期間分の診療記録を管理できるようになる。いわば個人の信用情報のようなものだ」と述べている。

健康データの世界は複雑で、プラットフォームの構築には膨大な作業を要するが、アップルはSethiの健康トラッキング分野における豊富な経験を高く評価したようだ。Sethiは30年に及ぶヘルステクノロジー業界でのキャリアで、Gliimpseを含めて5社のコンシューマヘルス企業を立ち上げ、医療情報システムにおける相互運用性の実現に尽力してきた。

編集=上田裕資

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