女性たちが改善の余地ありという点で同意したのは、企業の方針だ。自分の働く企業に、家族にやさしい方針があると考えている女性は、わずか36%だった。
出産休暇を有給とすることや社内の保育所を設置することなどは、企業にとっては高額な出費と思えるかもしれない。だが、それでも企業の方針として段階的に改善していくことが可能な点だ。既に深く根付いていて変えることが難しい企業文化に比べて、企業は「方針」ならば比較的容易に、段階的に改善していくことができる。
そうした改革によって自社に対する従業員の関与の度合いを高め、人員の自然減を食い止めることができるなら、企業にとっては受け入れられない負担ではないだろう。例えば、アウトドア用品大手パタゴニアのCEOは社内の保育所について、「ほぼ採算は取れている」と話す。
企業方針を徐々に改善していくことを検討しているなら、企業は手始めに出産休暇や育児休暇を1~2週間、延長してみることができる。同様に、保育所を開設することができなくても、子どもがいる従業員の育児を支援することはできる。一部の職種については、フレックスタイムや在宅勤務を制度化し、選択肢として提供することもできる。
これまでに確認されているデータによれば、女性従業員の仕事に対する満足度は、企業が家族にやさしいかどうかと深く関わっている。家族にやさしい企業になるための「特効薬」はないかもしれないが、そのような企業になろうとする努力の中に、企業にとっての機会があるといえる。