専門家チームの所見によれば、アメリカ人は1日に平均6~8時間を座った状態で過ごしている。座りっぱなしが糖尿病から死亡に至るまでのあらゆる問題とつながりがあることは、数多くの研究で示されている。だがもっと大きな問題は、運動をするだけでは解決にならないことだ。
仕事はデスクワークだが余暇には活発に活動している、という人でも、そもそも座っている時間が少ない人と同水準にまで病気や死亡のリスクを引き下げることはできないのだ。
そうなると運動に関する効果的なガイドラインを策定するのが難しいが、専門家チームは、現段階でより効果的なメッセージは「もっと運動を」ではなく「座る時間を減らそう」だろうと結論づけている。
AHAの機関誌『サーキュレーション(Circulation)』に発表された今回のレビューで、専門家チームは座っている時間や運動、病気・死亡のリスクに関する研究報告を徹底検証。その結果、年を追うにつれて人々の座っている時間が長くなっていることを発見した。
レビューで引用されているある研究によれば、アメリカで暮らしている人々が1週間のうち座って過ごす時間は、1965年には26時間だったが2009年には38時間に増えている。
長時間座りっぱなしでいることは、糖尿病、心臓血管への悪影響や死亡と繰り返し関連が指摘されてきた。たとえばテレビの視聴時間と糖尿病リスクの関係を検証した複数の研究によれば、テレビを見る時間が2時間増えるごとに、糖尿病のリスクが少なくとも14%、1時間増えるごとに、心臓病のリスクが約6~8%増加するとの結果が示された。
また座りっぱなしの時間がきわめて長い人は、最も短い部類の人々に比べて死亡のリスクが大幅に高くなり、数倍になる場合もある。
さらに大きな問題は、運動をしても、座りっぱなしによる悪影響を部分的にしか減らせない可能性があることかもしれない。つまり活発な活動をしている人でも、座っている時間が長ければ、よりリスクが高い状態にあることは変わらないのだ。