スポティファイが音楽と映画を融合したコンテンツで成功するためには、ネットフリックスが2015年に制作した「ニーナ・シモン〜魂の歌(What Happened, Nina Simone?)」を見習って長編の大型コンテンツを制作する必要があるだろう。
しかし、スポティファイにはこれを実現するための資金がない。スポティファイは赤字で、昨年は売上の83.6%を著作権者に支払っている。また、こうした作品は「スポティファイらしさ」にそぐわないため、ステークホルダーたちをますます混乱させてしまうだろう。
ネットフリックスも似たようなジレンマに直面する。同社は音楽部門を持っているが、独自コンテンツのためのライセンス取得が主な業務だ。現状の流れを進めるには、自社でアーティストの育成や、音楽ストリーミング部門を独立させる方向もあるが、そうなると莫大なライセンス料を支払う必要が生じ、月額料金をさらに値上げせざるを得なくなり、退会者の増加につながるだろう。
ストリーミングサービスの勝者となるビジネスモデルはまだ出現していない。企業らは自社の強みを活かして賢く差別化を図っていくことが求められる。