女子プロゴルファーの姿に思う、勝ち続けることの厳しさ

Photo by David Cannon, Sean M.Haffey / Gatty Images


ANAインスピレーションには、世界中のランキング上位のプレーヤーはもちろん、日本からもイ・ボミ、野村敏京、宮里藍、上原彩子など錚々たるメンバーが参戦した。これは一流プレーヤーを観察するまたとない好機であると、ずっとコースを歩き回っていた。たとえば今も人気のミシェル・ウィー。気さくに撮影やサインに応じている。やはりファンを大切にする選手指導のたまものであり、プロとしての自覚でもあろう。勘違いしている多くの日本男子プロゴルファーにもしっかり見習ってもらいたい。

プレーに関していえば、ひときわ目立つ素晴らしいショットをしていた選手が、現在世界ランキング1位のリディア・コーである。韓国生まれだが6歳からニュージーランドに住んでおり、同国の国籍を取得している。彼女は14歳9カ月で豪州ツアー初優勝、最年少優勝記録を塗り替え、ツアー特例で16歳でのプロ転向が認められた逸材である(規定では満18歳以上)。世界ランキング一位を獲得したのは17歳。無論、男女を通じての史上最年少記録だ。

リディアには、彼女のコーチであるデビッド・レッドベターが付きっきりだった。自分のコーチである日本の堀尾研仁プロもレッドベタースクール出身なので、レッドベターは、私の先生だと言わんばかりに、そばに押しかけ最近のゴルフの傾向、リディアの調子などを聞いた。ついでに記念撮影もしてもらった。自分もかなりのミーハーである。

結局、トーナメントは実力通り、リディア・コーが制した。彼女のぶれない姿勢、練習熱心ぶりを見るとしばらくは安泰だろうと感じた一方、世界無敵といわれ、世界ランキング1位に2年間君臨した台湾のヤニ・ツェンも、最近は全く勝てなくなったのを見ていると、ゴルフの世界においても勝ち続けることの厳しさを思わないわけにはいかない。練習ラウンドから上がってきたヤニ・ツェンとも会話して記念撮影にも応じてもらったが、ヤニ・ツェンもリディアも身長がちょうど同じ168cm。そんな共通点を実感できるのも、大会に足を運んだ者の特権だ。アジアの偉大な女性ゴルファーに乾杯!


小泉泰郎 こいずみ・やすろう◎FiNC 代表取締役CSO/CFO。東京大学経済学部卒。日本興業銀行、ゴールドマン・サックスで計28年活躍。現役中から、インターナショナルスクール・オブ・アジア軽井沢・発起人、TABLE FOR TWO Internationalのアドバイザーなど社会貢献活動にも参加。お金のデザイン社外取締役、WHILL、FC今治のアドバイザー。

文=小泉泰郎

この記事は 「Forbes JAPAN No.25 2016年8月号(2016/06/25発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

タグ:

ForbesBrandVoice

人気記事