女子プロゴルファーの姿に思う、勝ち続けることの厳しさ

Photo by David Cannon, Sean M.Haffey / Gatty Images

ニュージーランド・オープンに続き、なんと米国女子メジャー第1戦、ANAインスピレーションのプロアマ戦に招待された筆者は、今度はカリフォルニア州に飛んだ。同大会を制したのはリディア・コー。間近で接したこの世界一の女子プロの姿から、筆者が感じたこととは。

前回までニュージーランド・オープン、正式にはBMW ISPS HANDA New Zealand Openのプロアマ参戦記をお届けしたが、幸運にも引き続き、LPGA(全米女子プロゴルフ協会)メジャー初戦のANAインスピレーションのプロアマ戦に参加できることになった。ANA関係者の方々、現地の皆さんには感謝!感謝!

開催場所はカリフォルニア州・ランチョ・ミラージュにあるミッションヒルズ・カントリークラブだ。ロサンゼルス国際空港から車で2時間ほど内陸に向かった砂漠地帯の入り口にあり、周辺には、おびただしい数の風力発電の風車が林立し、その威容に圧倒される。この大会は、米国の名歌手ダイナ・ショアの企画によりコルゲート・ダイナ・ショア・ウィナーズ・サークルとして、1972年にスタート。1983年にはメジャーに昇格し、女子版マスターズともいわれるぐらい格の高い大会である。2015年ANAが公式スポンサーになる前はクラフト・ナビスコ選手権として有名だった。過去の優勝者には、アニカ・ソレンスタム、 ロレーナ・オチョア、カリー・ウェブ、ヤニ・ツェンなど錚々たるプレーヤーが名を連ねているが、ここ十数年は、韓国人プレーヤーが3回優勝するなど、LPGAでの韓国勢の活躍ぶりがそのまま反映されている大会でもある。

優勝者は、最終日最終18番ホールで池に飛び込むことで有名で、そのシーンを思いだされる読者も多いだろう。その池の通称はPoppie’s Pond(ポピー池)。自然の池の端っこに人工池スペースが設けられており、選手が飛び込んでも汚れないように工夫がされている。賞金総額も桁違いで、日本円で約2億8,000万円、優勝賞金は約4,300万円だ。ちなみに日本の女子ツアーの賞金総額は、2016年度が38試合で約35億2,000万円である。

カリフォルニア州は、米国留学時代、ロスとサンタバーバラで一夏を過ごしたことがあり、私にとっては愛着の深い地だ。同州は昨今、深刻な水不足に悩まされているが、地元の人の話では、今年はエルニーニョ現象のため、例年より多い降雨量が期待されたが、期待に反して雨は少なく、水源の湖水位も例年の30%ぐらいまで下がってきているとのこと。水源の約1/3を頼るシエラネバダ山脈の雪も年々減少傾向にあり、2013年には知事が非常事態宣言を出すなど、事態は深刻化しているようだ。同じエルニーニョ現象でも太平洋の反対側ではまた違う現象と悩みがあることを実感した。
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文=小泉泰郎

この記事は 「Forbes JAPAN No.25 2016年8月号(2016/06/25発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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