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2016.08.19 11:30

補助金食いの「植物工場」 次世代技術でついに黒字化なるか

Source: Panasonic


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パナソニックはこうした一連の問題に鑑み、「政府の補助金なしでの黒字運営」を約束する自動栽培システムをワンストップで提供している。

同システムは歩留まりを95%にまで高められ、運営費も従来型の工場の半分だという。これは、LED照明の細やかな制御によって、消費電力を従来の蛍光灯工場比で6割削減することに成功したためだとしている。さらに、最先端の空調技術により、床から天井までの棚間温度差を従来の4~6度から1.5度以内に改善。植え替えや肥料散布などの作業を自動化することで、人件費も5割削減できるという。

松葉氏は、場所さえあれば誰でもこのシステムを導入し、質の高い野菜を生産できると語る。導入費は200万ドル(約2億1000万円)からで、投資回収に要する推定期間は7~8年だ。
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しかし、これほど高度なターンキー式システムをもってしても生産品の価格を抑えるのは難しく、例えばレタスの価格は一般的なスーパーの2倍近くになる。だが、均質で味もいい野菜を生産できることや、有機栽培の上を行く品質を実現できる(外環境からの汚染を完全に防ぐことができる)ことから、飲食店など一部の顧客に訴求できると、パナソニックは強調している。

安倍晋三首相は27日、事業規模で28兆円の経済対策を発表。このうちの大部分は農業分野が対象で、パナソニックには今後、電機メーカー各社との競合が見込まれるだろう。

例えば富士通は2012年から、屋外やビニールハウスでの栽培管理を一括して担うクラウドベースのITサービスを提供している。その対象は最近、植物工場にも拡大。2013年には、政府の補助金制度を利用し、福島県の半導体工場の一部を、食事療法が必要な人向けの低カリウム野菜の栽培工場に作り替えた。

東芝もまた、野菜工場業界に参入。2014年に、神奈川県横須賀市の遊休施設を利用した「東芝クリーンルームファーム横須賀」で、ほぼ無菌状態でのレタス、ホウレンソウ、ミズナなどの生産を開始した。

まだ駆け出しの植物工場業界にとって、競争の増加は好ましいことだ。工場産の野菜がスーパー並みの価格になるには、まだ何年もの技術進歩が必要なのだろうから。

編集=遠藤宗生

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