開業すると、ホーシュラーのジェラートは大人気を博した。そして、消費者の反応から販路拡大の必要性を確信したホーシュラーは2004年になると、小売店を回って自分の手作りのジェラートを売り込み始め、やがてホールフーズやクロ―ガー、コストコなどとの契約を獲得、これらチェーンの各店で販売を開始した。
こうしたタレンティの人気の勢いに、いくつものアイスクリーム・ブランドを擁するユニリーバが目を付けないはずはなかった。ユーロモニターのアナリストは、タレンティの売上高はユニリーバに買収された直後の2014年12月末の時点で、年間1億7,500万ドルに達していたと推計している。
ユニリーバの傘下に入って以降も、タレンティが理念として掲げる「個人経営の小さな店の魅力の維持」は保たれている。ユニリーバはホーシュラーが継続して経営に携わることを認め、買収額は明らかにしていない。
一方、ユニリーバのリソースや財政的支援、巨大な流通ネットワークのおかげで、ホーシュラーは新たなフレーバーの開発や各地の店舗における定期的な品ぞろえの変更などを実現できるようになった。前出のアナリストによれば、タレンティの2015年の売上高は約2億4,500万ドル。前年比およそ40%増となった。
タレンティの今後
大型容器入りの持ち帰り用のジェラートがあまり販売されていない外国市場への進出の可能性は高い。ユニリーバもその実現を見込んでいる。カナダやオーストラリア、韓国、英国など、フローズンヨーグルトの人気が高く、その代わりにもなる健康的なデザートが求められている国に、多大な機会があるとみられる。
ただ、タレンティは現在のところ、全米各地への販路拡大を目指す考えだとしている。ホーシュラーは、「ここ数年で、さまざまなことが大きく変化した。ただ、ブランドへの愛情、ジェラートを作ることへの愛情は変わらない」「僕らはみんなにとっての“地元のブランド”だ」と語っている。