ビジネス

2016.08.19

ジェラート・ブームの米国、一番人気は「タレンティ」 外国市場にも進出か

Courtesy of Talenti gelato e sorbetto

米国でアイスクリームといえば今、最も高い注目を集めているのが「ジェラート」だ。10年ほど前にはまだ珍しかったジェラートは現在、143億ドル(約1兆4,390億円)規模の米国のアイスクリーム市場の5%を占める存在となっている。市場調査会社のユーロモニターとミンテルによれば、ジェラートの売上高は今年、前年比32.3%の増加が見込まれている。

ぜいたくな味

このトレンドに目を付けた多国籍企業のユニリーバは2014年、米国一の人気ジェラート・ブランド「タレンティ(Talenti)」を買収した。

タレンティのジェラートは、スーパーマーケットの冷凍庫の中でもひときわ目を引く。流線形を描くチョコレート・ファッジや渦巻きの模様を作るブラックチェリーのジャム、ビタースイートのチョコチップと砕いたクッキー入りなど、素材が持つ自然な色をあらわにするエレガントな透明の容器が、隠すものなど何もない、このブランドのぜいたくさを私たちに伝えている。

健康にも気を使う甘いもの好きの消費者にとっては、ジェラートは何より最高のものといえそうだ。ジェラートはクリームではなく主に牛乳を使用しているため、伝統的なアイスクリームより脂肪含有量が少ない。

また、アイスクリームとは異なり空気を入れていないことから、濃度が高くなり、風味がより豊かになる。アイスクリームより30%少ない脂肪分で、食後のデザートを堪能することができる。

始まりは街角の商店

タレンティの創業者、ジョッシュ・ホーシュラーはボストン大学を卒業後、22歳だった1996年にアルゼンチンの首都ブエノスアイレスに赴任した。そこで出会ったのが、街中にあるいくつもの小さな「ジェラテリア」だった。

銀行勤めだったが企業家精神も備えていたホーシュラーは、イタリアからの移民を先祖に持つ人が多いこの国で知ったそのクリーミーなスイーツを米国に持ち帰ろうと決意。2001年には一番のお気に入りだった店に「弟子入り」した。3か月にわたってジェラート作りの腕を磨き、家族や友人から合計60万ドル(約6,060万円)の出資を得て、一人で小さな店を開いた。
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編集 = 木内涼子

この記事は 「Forbes JAPAN No.26 2016年9月号(2016/07/25発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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