日本の社長と世界のCEOが見ている「未来」とは?

PwC日本代表の木村浩一郎(Photo by Jan Buus)


ー世界全体のCEOの意識はどのように変化しているのでしょうか。

木村
:今回のサーベイで見えてきたことは、企業にとっての価値観、あるいは「Purpose(企業の存在意義)」にさらに注目していこうというCEOの意識の変化です。不確実な世界で成長機会をつかみ取るカギはそこにあるのではないでしょうか。企業は何のために存在しているのかー。存在意義や使命がしっかりとしている企業はチャンスをつかめるでしょうし、それがあいまいだと成果につながらないと思います。

ー企業でPurposeの定義が重要課題となっているのですね。

木村:昨今の消費者は、企業のPurposeに共感できるかどうかを商品購入の判断基準にすることが増えています。就職に関しても、自分の価値観と共通するものがあるかどうかをみています。ミレニアム世代がそうです。世界のCEOはそれをより意識するようになりました。

ー企業の成功に求められるものは何でしょうか。

木村:まず、日本企業にとっては、ダイバーシティの推進と併せて、将来のリーダー育成は待ったなしの課題です。日本のCEOの73%(海外は49%)が人材戦略の改革とリーダー候補選定を最重要課題に挙げています。

そして、世界のCEOの76%、日本のCEOの84%が、21世紀の企業の成功は、財務上の利益だけでなく、その他の要素を含めたものに捉え直されることになると言っています。しっかりとしたPurposeを定義し、ステークホルダーとの強固な関係を築くことこそが、変貌する世界で成功するための源泉となるのです。

木村浩一郎◎1963年福岡県生まれ。87年早稲田大学政治経済学部卒業。86年青山監査法人に入所し、90年公認会計士登録。93年プライスウオーターハウス米国法人のシカゴ事務所に出向。97年青山監査法人に復帰。2000年中央青山監査法人の代表社員に就任。あらた監査法人(現・PwCあらた有限責任監査法人)の執行役(アシュアランス担当)、代表執行役を経て、16年7月にPwC Japanグループの代表に就任。

文=北島英之

この記事は 「Forbes JAPAN No.26 2016年9月号(2016/07/25発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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