同社の名前に馴染みのない人たちのために説明をすると、「エリオ」は三輪“オートバイ”だ。米国内の41州で、バイクの運転免許なしで乗ることが認められている。全長はホンダ・シビックと同程度だが、車幅は半分ほど。自動車のボンネットに当たる部分が前に長く伸び、ドアは従来の車と同様のヒンジ型だが、片側だけに取り付けられている。
前輪はフロントエンドの脇から左右に伸びた位置にあり、サスペンションが見える設計と空力フェンダーは、1990年代にクライスラーが発表した「プロウラー」を思い出させる。通勤用などに1人で乗ることを念頭に考案されたデザインだが、ドライバーの真後ろにもう一人の乗車が可能。ただし、かなり狭い感じはあるかもしれない。
現在、まだ試作品の段階ではあるが、小型の3気筒エンジンを搭載したエリオの燃費は35.3km/L。また、衝突試験の結果でも、最高評価の「ファイブスター」を獲得できる設計だという。国内各地に販売店を設け、独自の販売ネットワークを築きたい考えだが、最終的にどのような販売戦略を検討しているのかについては、現時点では不明。
予約の方法は2種類
予約については、返金を認めるプランとそうでないものの2種類を用意(それぞれ100~1,000ドル、約1万~10万円の4タイプ)。返金なしで予約した人には、購入時の本体価格を7,300ドル(約73万2,000円)で固定することが保証される。ただし、予約台数が6万5,000台を超えた場合には、価格の変更もあり得るという。
同社によれば、すでに5万6,000台を超える予約が入っており、申込者の大半は、「返金なし」のプランを選んでいる。同社ウェブサイトを通じての申し込みなら、予約金のディスカウントを受けることもできる。
一方、エリオのウェブサイトによると、予約金は「生産」のために必要な資金に充てられる。キックスターターのようなクラウドファンディング・サイトを使って製品の発売を目指せるようになった今の時代に、返金を認めずに予約金を集め、それで事業を進めるという計画をそれほど悲観的にみる必要はないのかもしれない。
だが、こうした進め方にリスクがあることは、同社も認めている。その上で、「顧客のリスクは、この胸が躍るような新しい車を近所でも一番乗りで手に入れることができるという点で相殺される」と述べている。
ポール・エリオCEOは、「われわれは、他に類をみない車を発売しようとしており、より手頃、かつ強気な価格での販売を目指している。同時に米国内に雇用を生み出し、外国石油への依存度を引き下げ、より環境に配慮することを目指している。また、米国の製造業を強化したい」などと話している。