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2016.08.18 12:00

不動産価格下落リスクの見分け方[日本の不動産最前線 第4回]


次に道路付けについて。住宅地価格の決定要素で「道路付け」は最も重要なものの一つだが、今後は、従来価値が高いとされてきた「東南角地」の価値は相対的に下落、旗竿地(はたざおち、敷地延長地型)などの価値が見直されよう。
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東側に道路がある土地は「東道路」。南側にあれば「南道路」と呼ばれ価値が高い。東・南側双方に道路があれば「東南角地」で、最も資産価値が高い。西道路が坪100万円だとすると南道路は10%高の110万円、東南角地は120万~130万円程度となる。

これは、道路付けによる価値は主に「日あたり」で決まるためだ。東南角地は朝日が入り日中も日当たりが良い。次に価値の高い南西角地は、朝日は望めず西日になることもあり坪120万円程度。北道路は、南側に建物が立つと直射日光が望めず90万円程度となる。
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ただし、実際に建物が建ってみると、また違った側面が浮かび上がってくる。マンション高層階の北向き部屋は相対的に割安だが、採光(あかるさ)という点では十分であることが広く知られるようになった。同様に、北道路の土地でも、間取りの工夫によっては十分な採光を確保できることも多い。

一方、価値が高い南道路の土地に間取りを入れる場合、道路の前にリビングや和室を配置することとなり、道路を往来する人と目が合うなどの弊害が生まれることもある。土地が狭い場合には、南に配置するリビングの目の前が駐車場となり、自動車を見ながら暮らすことになる。

最も価値が低いとされる「旗竿地」は坪60万~70万円程度だが、通路部分のアプローチ部分を植栽できれいに飾り、建物の玄関まわりを見栄えよくするなどの工夫によっては素敵な住宅になることもある。ただし周辺を建物に囲まれるうえ、死角が発生することから防犯性には一定の配慮が必要だ。また、建物には燃えない・燃えにくい材料を使用するなど建物の防火・防災には気をつけたい。

今後は、道路付けにかかわらず「良い間取りが入るか」を大事にする時代に移り変わっていきそうだ。


文=長嶋 修

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