だが一部の学位は、もう就職や高額な報酬を保証してくれるものではなく、多くの学生が学資ローンの負担を考えて、学位取得の道を検討しなくなる可能性がある。
米フォーブス誌では毎年、報酬情報サイトのペイスケールが人気の高い45の修士号に関して実施している「キャリアの中間評価データ」を調査している。それぞれの学位を保有する人のキャリア初期から中期にかけての給与上昇率、仕事満足度、仕事に起因するストレスや、やりがいを調査。さらに各学位に関連した仕事について、米労働統計局による推定雇用増加率も考慮に入れてランキングを作成。学位を取得した人々にとって、どの分野が(有形・無形を問わず)最高の条件を保証するのかを検証している。
2016年のランキングで「就職に最も役立つ修士号」に輝いたのは、生物統計学。同局によれば、統計の分野で働く人々は「データの収集・分析や、ビジネス、工学、医療やその他の分野における現実の問題を解決するのに、統計的手法を役立てている」。
生物統計学の学位保有者の、キャリア中間点での平均年収は10万4,000ドル。仕事満足度ややりがいの評価も高く、キャリア初期から中期にかけて報酬は151%増加している。雇用増加率は18%と予想されている。
ランキングのトップ5入りした学位はいずれも、ここ数年に比べて雇用増加率が高いと予想されている。2位の統計学の学位に関連した分野では、雇用増加率が14%と予想されており、平均年収は11万2,000ドル。仕事満足度もきわめて高い。
このほかトップ5入りしたのは、音声言語病理学、コミュニケーションサイエンス&言語聴覚障害学、理学療法。さらに、常に人気の高い技術関連の仕事に関連する修士号――経営情報システム、コンピューターサイエンス、ソフトウェア・エンジニアリングは今年も人気で、トップ10入りしている。
一方で「就職の役に立たない修士号」にランク入りした学位に関連した多くの仕事は、キャリアの初期から中期にかけたの給与上昇率は高かったものの、元々の給与水準が低く、また雇用増加率も全体として低いと予想された。
ワースト修士号ランキングのトップは今年も刑事司法。この学位に関連した分野の仕事は、やりがいと満足度の評価が中程度。キャリア中間点での平均年収は6万3,600ドル(約644万円)で、雇用増加率はわずか7%と予想されている。
このほかには、スポーツマネジメント、建設管理、図書館情報学とジャーナリズムがトップ5入りした。いずれも仕事のやりがいについての評価はまずまずだったが、キャリア中間点での平均年収が7万5,000ドルを超えた修士号はジャーナリズムのみ。また、これらの学位に関連する仕事について予想される雇用増加率は、最高で7%だった。