そのアルバムとはフューチャーの「EVOL」、ドレイクの「ヴューズ」、そしてDJキャレドの初めてのチャート1位作品の「Major Key」だ。
ストリーミングサービスがアルバムを独占配信するのは珍しいことではないが、チャート1位を獲得できたのはアップルミュージックで配信されたものだけだ。背景には1,500万人の有料会員が繰り返しストリーミングし、調査会社ニールセンの新たな計算方法によってその再生回数がチャートに影響したことが挙げられる。だが、それだけで1位を獲得できるわけではない。
ストリーミングでDL販売も増加
アップルは他のストリーミングサービスとは違い、ストリーミングと同時にダウンロード販売も行っている。フューチャー、ドレイク、そしてDJキャレドは3人ともストリーミングの再生回数とアルバムの販売枚数を合わせて1位をマークした。アップルにはストリーミングと販売の2本柱があるため、独占配信アルバムをチャート1位に押し上げることができたのだ。
アップルが初めてストリーミングの独占配信でチャート1位獲得に近づけたのが、チャンス・ザ・ラッパーが2016年5月に発表した「Coloring Book」だった。発表後数週間はアップルミュージックの独占配信で、初登場トップ10にランクインした。このアルバムは当時ストリーミングのみで販売はされていなかったため、ストリーミングのみでランクインしたアルバムとしては最高順位となった。
競合Tidalらとは圧倒的な差が
アップルミュージックのライバルTidalも2016年から注目のアルバムの独占配信を行ってきた。リアーナの「アンチ」、カニエ・ウェストの「The Life of Pablo」、ビヨンセの「レモネード」といった楽曲だが、どれもTidalの配信だけではチャート1位に着くことはできなかった。
カニエ・ウェストは8作目となる「The Life of Pablo」についてツイッターでTidal以外での配信はないとし、「絶対に絶対にアップルでは配信しない」と明言していた。この方針によってしばらくはビルボード200に入ってこなかったが、数か月後に他のプラットフォームでも配信する方針に転換したことにより1位を獲得できた。
ビヨンセも「レモネード」の販売についてはiTunesに頼ったが、ストリーミングに関してはTidal限定とした。リアーナやカニエとは違いSpotifyなど他のストリーミングサービスには配信を許さなかったにもかかわらず、自身6枚目のNo.1ソロアルバムは数週間にわたりトップ10入りを果たした。
アップルが新アルバムをストリーミングとiTunesの両方で提供する限り、少なくともしばらくの間はアルバムをチャート1位に押し上げられる唯一のストリーミングプラットフォームであり続けるだろう。