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電通総研内のクリエイティブシンクタンクによる連載「NEW CONCEPT採集」

illustration by Kenji Oguro

東京オリンピックの新国立競技場はなぜもめたのか? その答えがここにある。最近の建築界の潮流にもなっているのが、外見のハコより先に中身のコンテンツから発想していくというもの。つまり、どんなことをしたいのかが問われているのだ。

はじめまして。「コン築」研究家の奥野です。建築でなく、コン築です。私、普段はクリエーティブ・ディレクターとして広告に携わっていますが、学生時代に建築を学んでいたこともあって最近では建築分野に関わることも増えました。そこで気付いたのですが、どうも建築が変わってきている、と。そしてこれは建築だけの話ではなく、世界を変える可能性を秘めているのではないか、と。

これまでの建築は、機能に合わせてハコをつくる歴史でした。お祈りをするための教会、オペラを楽しむための劇場、アートを展示するための美術館、といった具合です。しかし、2016年に、建築界のノーベル賞と言われる「プリツカー賞」を受賞したチリの建築家、アレハンドロ・アルベナ氏は違った。「ハコ」でなく「コト」をつくったのです。

彼を有名にしたプロジェクトは、チリの貧困地区につくった公団アパート。そこに用意された公的資金はまったく不十分なものでした。その資金でハコを一生懸命デザインしても住居が小さすぎて、すぐに住環境が悪化してしまうことは明らかでした。彼は、この問題をどうやって解決したのでしょうか。

その答えはシンプルでした。「住宅の半分をつくる」というものです。彼は住宅の半分に資金を集中させ、キッチンや風呂など住宅のコアとなる性能を飛躍的に向上させました。まさに選択と集中というわけです。

でも、残りの半分はどうしたのでしょう?

ここが彼の発明でした。なんと残りの半分は住人に「セルフビルド」させたのです。家族構成の変化や、懐具合に合わせて、住人に建築してもらうプログラムをつくった。つまり彼は「ハコ」ではなく「コト」をデザインすることで課題解決をしたのです。

「でも素人がセルフビルドしたら、グチャグチャになるんじゃないの?」という疑問も出てきますよね。でも、安心してください。むしろ、そこに住む人の個性や多様性が、楽しさや活気を生みだしたのです。家の中から、「次はどんな増築をしようか!」「お姉ちゃんも大きくなったから、部屋をつくろうね!」なんて会話が聞こえてきそうですよね。

アルベナ氏は言います。

「正しい問いを設定することが最も大切だ」と。なぜなら、いくら正しい答えを見つけても、出発点の「問い」が間違っていれば絶対に正解にたどり着かないから、だそうです。

文=奥野圭亮

 

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