ビジネス

2016.08.23 08:30

アジア予選を勝ち抜いたスタートアップ27社、頂点に立ったのは?


1位に輝いたのは、マレーシアのボーダーパス(BorderPass)。同社が提供するのは、入国審査場にできる長蛇の列を解消する技術だ。

現在、紙ベースで運用されている入国審査用紙をデータ化してクラウドで管理し、渡航者が航空券を予約した段階で目的地の当局に送信するというもの。この技術を使うことによって、当局は事前に渡航者を審査できるようになり、手続きの迅速化を図ることが可能になる。渡航者にとっては、入国審査場での待ち時間が減り、スムーズに通過できるようになるのが魅力だ。

同サービスのもう一つのポイントは、高精度の本人認証システムを導入している点だ。非接触技術を使った指紋認証や、高精度の顔認識システムを採用しているのが強み。顔認識システムは「目視では識別が難しい一卵性双生児の双子でも見分けることが可能」(アリフCEO)だとしている。

同社はすでにエアアジアと提携しており、今後も航空会社の提携先拡大を進める。アリフ氏は「アジアの空港の38%は飽和状態。今後ますます経済が発展すれば、利用者はもっと増えるはず」と話す。今後はアセアン諸国での普及を目指す方針で、アリフCEOは「2年後には50万ユーザーをカバーしたい」と意気込んでいる。

医療系スタートアップの存在感が目立ったAEA2016

1. ボーダーパス/マレーシア

CEO:Faisal Ariff
サービス:入国審査用紙をデータ化し、空港での入国審査を迅速化するサービス

マレーシアのボーダーパスは、クラウドと生体認証を組み合わせ、空港の入国審査を厳格かつスピーディーに改善する仕組みを提案。すでにエアアジアと提携しており、今後はアセアン諸国での拡大を目指していく方針だ。

2. DRDバイオテック/ロシア

CEO:Anzhey Zhimbiev
サービス:臨床現場即時検査キットを用いた脳損傷の診断改善、早期発見

ロシアのDRDバイオテックが提供するのは、脳損傷を早期発見するための検査キット。簡単な血液検査によって検査コストを引き下げ、また出血を伴わない軽度の脳損傷を発見できるようにした。2021年に3000万ドルの資金調達を目指す。

3. ジマー・メディカル/台湾

国際担当ディレクター:Sharon Fan
サービス:慢性の背部痛、がんおよび手根管症候群の痛みを緩和する電気的刺激システム

台湾のジマー・メディカルが提供するのは、慢性背部痛に代表される痛みを緩和する技術。中国には5000万人の患者がいるといい、大きな市場が見込まれる。年内に600万から1000万ドルの資金調達を計画。アメリカ、中国市場での営業力を強化する。

文=Forbes JAPAN編集部

この記事は 「Forbes JAPAN No.25 2016年8月号(2016/06/25発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

タグ:

ForbesBrandVoice

人気記事