イギリスのコヴェントリー大学(Coventry University)の研究チームは、セックスが中高年の精神に与える影響について調査し、認知力テストにおいて、セックスとテスト結果の重要な相関性を確認した。オックスフォード大学出版局の学術誌British Geriatrics Societyでの発表によると、セックスに積極的な男性の被験者は数字の並べ替えや記憶力のテストで、そうでない人々より結果が良かった。女性も記憶力テストで同様の結果が示された。
研究を指揮したヘイリー・ライトとレベッカ A. ジェンクスは、様々なバッググラウンドを持つ50~89歳の6,800人を対象にした「英国の高齢者の縦断的な研究」の、データと認知力テスト結果を分析した。ライトは英紙ガーディアンに、「50歳以上の人々のセックス行動と認知機能テストのスコアには、はっきりした関連性がある」と述べた。
この結果は、認知症やアルツハイマーなど“脳の老化”が引き起こす疾病への関心が高まっている現代社会で、中高年にとって朗報となるかもしれない。一方で、多くの人は中年に入るとセックスから遠ざかるため、この恩恵を受けることが難しい現実もある。
全米退職者協会(AARP)の2010年の調査は、健康問題と金銭的な不安が、中高年をセックスから遠ざける原因だと指摘した。AARPやアメリカ国立老化研究所(NIA)は、50歳以降のセックスライフに関する分析データを提供しており、健康な性行為の医学的有効性への関心は着実に高まっている。
コヴェントリー大学チームの研究結果だけでは、中高年にとってセックスをするほど認知力が高くなるとは断定できないがライトは「将来性のある研究」と考えている。研究チームは今後、中高年のセックスと認知の関係をさらに深掘りし、「セックスが認知機能を強化するかどうか明らかにしたい」としている。