世界を知るヒントは読書と旅にある

チェン・イエ トリナ・ソーラー・ジャパン 代表取締役社長 /photographs by yOU (Yuko Kawasaki)

太陽電池モジュール出荷量で2年連続世界第1位を獲得したトリナ・ソーラー。
日本法人社長、チェン・イエ氏に成功の秘訣となる中国のことわざとタイムマネジメント術を聞いた。

ーチェン社長は現在、日本支社で代表取締役社長をされていらっしゃいますが、海外の企業のポジションで成功するのに大切なことは?

私は北京で生まれ、大学時代まで過ごしました。北京はご存じのように中国の首都であり大都市ですが、そこに長く住む気はなかった。卒業後は広州にある香港系の会社に入社し、2003年にはイギリスに留学、経営学修士を取得したのちに上海で働き、08年にトリナ・ソーラーに入社しました。海外旅行もたくさんしました。私の専門職である国際貿易においては、視野を広げて経験を積むことがキャリア形成に重要だと思っていたからです。

最近とみに思いますが、若者は家にこもっていないで、外に出るべきだと思います。両親は子どもが間違った方向にいかないよう導く責任はあるけれども、自分の範囲に子どもを留めておかずに、やりたいことをさせてあげることが必要です。会社でのマネジメントも同じようなもの。ターゲットを明確にして、チームをつくり上げ、楽しい雰囲気の中で目標を達成させる。それが私の考えるマネジメントですね。ブランディングであれ売り上げであれ、偉大なことを達成するには、チームワークがとても大事だと思います。ただ、私は中国人で、日本語も完璧ではありませんから、いまの日本人従業員やゲーム世代の若いスタッフのよいチームワークを築き上げていくのは、大きな課題でもあります。

ーご両親から教えられたことでいちばん重要なことはなんですか?

両親はともに医師をしており、普段はとても忙しく、大晦日でもどちらかがいないということがしばしばでした。子どものころは「なぜ?」と思いましたが、そのうちに家にいるいないは関係なく、何を教えてくれるかが重要だと感じるようになったんです。

その中でいちばん大きなものは読書の習慣です。どのように本を読んだらよいのか、ということを具体的に教えてくれました。中国には「読万巻書、行万里路」(一万冊の書物を読み、万里の道を行く)という言葉があります。「本から得た知識以外に、自らの足で旅をして、視野を広げ、見聞を広げる」ことが重要だという意味です。読書で時代を超えて先人に学び、旅で自らの体験を通して未知の世界を知る。私は両親のおかげで読書が好きになったし、また世界にも羽ばたかせてもらえたので、とても幸運だったと思っています。

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堀 香織 = 構成

この記事は 「Forbes JAPAN No.25 2016年8月号(2016/06/25発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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