アップルがホームページで明らかにしたデータによれば、新規採用者のうち女性の割合は2014年の31%から2016年(これまでのところ)は37%に増加。マイノリティーの割合も21%から27%に増えている。同社はマイノリティーについて「黒人、ヒスパニック系、ネイティブアメリカン、ネイティブハワイアン、その他太平洋諸島の居住者」と定義している。
アップルの思い切った取り組みから各ブランドが学べる教訓をいくつか挙げておく。
透明性を求める声はなくならない
透明性の実現については、各企業がさまざまな“リップサービス”をしている。だが人々が求めているのは「真実」だ。消費者は、自分が食べるものに入っているもの、自分が着る服をつくった人々の労働環境を知りたがっている。
人材募集の際の透明性も重要だ。企業への就職志望者たちが知りたいのは、「実際に」その企業で働くということがどういうことなのか。つまり、職務についての情報だけでなく、企業全体の文化や職場の雰囲気、報酬システムの公平さなどを知りたいのだ。
企業にとって、公平な報酬の支払いと多様性受け入れに取り組む姿勢をオープンにすることがきわめて重要だ。「情報はこれで十分。これ以上のことに興味はない」と言う人はいない。透明性というコンセプトは、時代と共に形を変えることはあったとしても、決してなくなることはない。
同一賃金実現の訴え掛けは「活動」ではない
アメリカでは、同じ仕事でも女性の賃金は男性より少ないことがすでに広く知られており、政府や業界のリーダーらも、この問題への取り組みを強化している。ホワイトハウスは同一賃金実現への誓約を企業に呼び掛けており、すでにアパレル大手のギャップや音楽ストリーミングサービスのスポティファイ、コンサルティング大手PwCをはじめ、少なくとも28社に上る有名企業が誓約書に署名している。
米雇用均等委員会もこの問題への取り組みを行っており、2017年秋から従業員100人以上の企業に対して、新たな申告義務(調査票への記入)が課せられる。調査票は、同一の職務に対して性別や人種ごとに、どのような査定や評価が行われているのかを記入するもので、企業の取り組みを評価する有効な手段だ。