この不安障害の有病率について医学誌「ブレイン・アンド・ビヘイビア(Brain and Behavior、脳と行動)」に発表された新たな研究で、いくつかの興味深い所見が示された。
英ケンブリッジ大学では、不安障害について行われた過去の1,200の研究について検討し、このうち研究チームの試験対象基準を満たした48の研究の結果を検証した。その結果、世界全域での不安障害の有病率は約4%、有病率が最も高かったのは北米で約8%、最も低かったのは東アジアで3%弱だと明らかになった。
女性は男性に比べて有病率が2倍で、発症に収入は関係ないようだ。年齢で見ると、35歳未満のより若い世代の方がなる可能性が高かった。
また心臓病や多発性硬化症のように、慢性的な健康上の問題を抱えている人々は、健康な人々よりも発症する可能性が高かった。さらに妊娠中の女性や出産して間もない女性は、そのほかの女性に比べて強迫性障害を患う可能性が高いことが分かった。
北米、オーストラリアとニュージーランドの先住民などの下位集団(サブグループ)については、データが少なすぎて、有病率を正しく理解することはできなかった。ドラッグの使用者、若者のホームレス、レズビアン、ゲイやバイセクシャルの人々についても同様だった。
「不安障害は、一部の人々の生活を極めて困難なものにする可能性がある。この病気がどれだけ一般的なものか、そしてどのグループの人々が最もリスクにさらされているのかを保健当局が理解することが重要だ」と、報告書の著者であるオリビア・リムズは言う。
「収集したデータを検証した結果、特に女性と若い人々、それに慢性的な健康問題を抱えている人々が特に、不安障害になる可能性が高いことが分かった」
こうした結果は大きな驚きではないものの、研究の規模と厳密さを考えると有力なものだ。過去の複数の研究でも、不安障害は男性よりも女性に多くみられるという結果が示されてきた。この傾向にはいくつかの理由が考えられる。