ビジネス

2016.08.19 17:00

名古屋大発のスタートアップが「40年ぶりの革新」を興す


鈴木:私も博士号を取得した研究者。大学院卒業後、米デラウェア大学で働く中で、上司が2〜3つスタートアップを持つなど研究成果の事業化を積極的に行い、ラボミーティングにベンチャーキャピタリストや弁護士が出入りしているのを見て”衝撃”を受けました。研究成果だけではなく、知的財産、おカネ、経営といった複数の要素が実用化には必要だと気付き、日本に戻る際に、名大の産学官連携部門を志願しました。そこで6年間実地的に事業化ノウハウを身につけ、今に至ります。

電子ビームは40年間技術革新が起きていない分野。かつ、使用される産業領域も幅広い。そこにイノベーションを興していくのが当社の技術であり、ビジネスです。

伊藤:いま、最初の製品の売り上げが立ち、一歩目を踏み出したばかり。スケールする事業になるポテンシャルは十分にある会社です。僕もメンバーの一員として”それを実現したい”という強い想いがある。今後、お二人には、技術シーズを事業化し成長させる「プロの経営者」として進化していってほしいと期待しています。

西谷:いまはカスタマイズした”一品もの”の段階。今後スケールするために量産化をしていきたいと思っています。電子顕微鏡、金属3Dプリンター、集積回路向けと進めていきながら、5年後のIPO(新規株式公開)を目指していきたいですね。

伊藤毅 いとう・つよし◎Beyond Next Ventures社長。2003年、東京工業大学大学院理工学研究科化学工学専攻修了後、ジャフコに入社。CYBERDYNE、Spiber、クオンタムバイオシステムズ、サイフェーズなどに主にリードインベスターとして投資。14年8月に同社を設立し、現在に至る。主な投資先は、キュア・アップ、AgIC、リバーフィールド、Photo electron Soul、オリィ研究所など。

鈴木孝征 すずき・たかゆき◎Photo electron Soul 代表取締役。名古屋大学大学院生命農学研究科博士課程修了。デラウェア大学、名古屋大学学術研究・産学官連携推進本部を経て、現職。

西谷智博 にしたに・ともひろ◎同社取締役技術開発担当、名古屋大学シンクロトロン光研究センター特任講師。名古屋大学大学院理学研究科博 士課程修了。日本原子力研究開発機構、 理化学研究所を経て、現在に至る。

構成=山本智之

この記事は 「Forbes JAPAN No.25 2016年8月号(2016/06/25発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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