同社は落ち込んでいた客足の回復を目指して、衣類や靴など取り扱う商品の幅を拡大。店舗のリニューアルを行う一方で、販促にかける費用などを縮減してきた。また、百貨店への卸売り販売も拡大した。
だが、コーチは8月9日、米国の百貨店チェーン、メイシーズやロード・アンド・テイラーなどでの販売を一部中止する方針を表明。まずは、現時点で販売を行っているおよそ1,000店舗のうち、4分の1ほどへの卸売り販路を廃止する計画を明らかにした。また、ディスカウントを積極的に行う店舗が同社製品を値引き価格で販売することについても、取りやめを求めていく考え。
今後は約500店舗あるコーチの店舗やアウトレットストアでの販売を強化すると共に、消費者の間における「コーチ」のイメージアップを図る。
同社のビクター・ルイスCEOはこうした方針についてアナリストや投資家らに向け、「消費者は色々なブランドを試してみたり、購入したりするのにデパートを利用することもあるだろう。だが、百貨店での販売促進の強化は当社ブランドの長期的な健全性に、マイナスの影響を与えてきた。販売チャンネルのいずれにも、混乱をきたしている」と説明した。
四半期の売上高は予想に届かず
コーチが同日に発表した2016年第4四半期(4~6月期)決算によると、北米の既存店の売上高は前年同期比2%増となり、ここ数年では最も好調だった。前年同期には、同19%のマイナスを記録していた。
全体としては、第4四半期の純利益は約8,200万ドル(約83億1.890万円)、1株当たりは29セント増となった。特別項目を除いた1株利益は45セントで、アナリストの予想を4セント上回った。
一方、売上高は15%増の11億5,000万ドル(約1,167億円)にとどまり、アナリスト予想の11億7,000万ドルに満たなかった。同社株は年初来23%上昇しているが、この発表を受け、同日の時間外取引では一時、3%下落した。