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2016.08.13 14:00

自動車メーカー各社が必死の買収 「サービスとしてのモビリティ」

ImYanis / shutterstock.com

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自動車販売業の先行きは暗い。少なくとも大手自動車メーカー各社はそう考えているようで、それに代わる「モビリティ事業」の買収に必死だ。
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メルセデス・ベンツの親会社であるダイムラーは7月下旬、イギリスとアイルランドで配車アプリサービスを展開しているヘイロー(Hailo)の株式60%を取得した。

この「サービスとしてのモビリティ(MaaS)」という概念は、各自動車メーカーにとって大きな変化であり、各メーカーは世界中で積極的にネットワークを構築している。ダイムラーの子会社ムーベル(Moovel)は2014年、オーストリア、スペイン、ポルトガル、ポーランド、ドイツとスウェーデンでサービスを展開しているMaaS企業のマイタクシー(MyTaxi)を買収。今後はマイタクシーとヘイローを合併させ、グローバルなサービス展開を目指すブランドを築く計画だ。

しかし、モビリティ事業についてダイムラーは依然として他社に後れを取っている。Maasの有望スタートアップであるウーバーは、積極的な資金調達を行い、サービス展開地域もどんどん拡大、猛烈なペースでブランド力を高めている。
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各自動車メーカーが警戒感を抱くのも当然だ。Maasにより、自動車業界が重大な局面を迎えていることは疑いようのない事実だ。社会が所有文化から共有文化へと移行するなか、車のニーズは劇的に減少している。サンフランシスコやニューヨーク、東京やロンドンなどの都市を見ると、その機会が与えられれば、人々は車を自分で所有するよりもMaaSを利用することを選ぶ傾向にあることがよく分かる。

それも当然だろう。多くの人にとって、車を所有するのは“ばかばかしい”。一般に車はあまり頻繁に運転することはなく、一日の大部分の時間は使わずに置いておくだけ。それなのにメンテナンスや保険、燃料が必要でコストがかかる。それに加えて運転の煩わしさもある。配車サービスは、こうした全ての問題を、自動車を所有するのに比べればわずかなコストで解決してくれるのだ。そのため各自動車メーカーは、競って車の所有に代わるモビリティサービスを買収している。車のレンタルサービスや配車サービスは、在庫をさばくために真っ先に取る方法なのだ。

このように、ダイムラーはマイタクシーを買収した。フォルクスワーゲンは配車アプリのゲット(Gett)に投資を行い、トヨタはウーバーと戦略的提携関係を結んだ。ゼネラル・モーターズ(GM)はリフトと手を組んでいる。電気自動車メーカーのテスラは事業計画「マスタープラン」で、完全自動運転のMaaS車両を世界各地に配備し、スマートフォンのアプリで呼びつけることができるようにするという構想を明らかにしている。

自動運転車を使ったライドシェアサービスという概念は、やや現実離れしているように聞こえるかもしれない。だがこれは、ウーバーの事業計画の一部でもある。同社のビジネスモデルからドライバーへの報酬を取り除くことができれば、少なくとも理論上は、かなり収益性が高まることになる。

各自動車メーカーにとって当面の問題は、将来いかにして車を売っていけばいいのかを解明することだ。現在のところ最も妥当な案が、MaaSを提供する企業を所有して確実に販売数を確保すること。だがこれはあまり革新的なアイデアには思えないし、業界を維持するのに十分な方法でさえないかもしれない。

編集=森 美歩

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