ビジネス

2016.08.14

日本の「インターネット業界」はなくなるのか

(左)メタップス代表取締役CEO 佐藤航陽 (右)DeNA 代表取締役社長兼CEO 守安功 (photographs by Toru Hiraiwa)


「今後5年のスパンで考えた時に、間違いなくいまが岐路だ。そういう意味で本当にうまい舵取りが必要になるだろう」
そう話すのは、B DashVentures社長の渡辺。業界外のルールや慣習を理解しながら、インターネットの利便性をうまく活用できるか。そしていかに「適応」していくのか。

「リアルになればなるほど、収益化まで時間がかかる。時間軸について考え方を変える必要がある」(守安)

だからこそ、渡辺は「起業家としても、会社としても変わらなければいけない」ということを指摘した。

今後、インターネット業界はどのような道筋をたどるのか。業界の存在を巡る2人の意見の対立は、むしろ「業界の外側にあったはずの既存産業との距離感が縮まり、いかに良好な関係性を構築していくか」という同じ思考のように見え、今が変革期であることを強調しているようにうつる。

起業家たちが集うことで生まれること

「ここがきっかけとなり、M&A(合併・買収)の話がはじまった」ディー・エヌ・エー社長の守安は2016年3月に開かれた、スタートアップイベント「BDash Camp」の壇上でそう話した。14年10月に発表したインテリア、リフォームのキュレーションメディア「iemo」を運営するiemo、女性向けファッションメディア「MERY」を運営するペロリを買収し、好調な同社キュレーション事業の新規立ち上げにつながったという。

国内外のインターネット業界の第一線で活躍する起業家らが年2回集結する同イベントでは、“恒例”のグリー社長・田中良和がモデレーターとなり、ユーザベース社長・梅田優祐、ソラコム社長・玉川憲、ウェルスナビ社長・柴山和久といった、いま勢いのある若き起業家たちを集めたセッションがある。会場には、起業家だけでなく投資家や大手事業会社の関係者たちが一同に集まるため、M&Aや事業提携など“新たな動き”が生まれる場として機能している。

佐藤航陽◎メタップス代表取締役CEO。1986年、福島県生まれ。早稲田大学法学部在学中の2007年に同社を設立し、現職。現在、アジアを中心に8拠点に事業を拡大している。

守安 功◎DeNA代表取締役社長兼CEO。1998年、東京大学大学院(工学系研究科航空宇宙工学)修了後、日本オラクル入社。99年、DeNAに入社し、2013年4月より現職。

文=Forbes JAPAN編集部

この記事は 「Forbes JAPAN No.25 2016年8月号(2016/06/25発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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