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その背景となるのが膨大な中間層の増加だ。遅れた“弱み”をそのまま“強み”に変える。この“リープフロッグ”に立脚した前向きな姿勢が、インドをますます熱くしている。インドの起業家から見れば、社会インフラの未整備など山積する社会課題さえも“弱み”ではなくビジネスチャンスなのだ。

インド最大の社会問題“ヘビートラフィック(大渋滞)”に焦点を当てただけでも、課題解決型サービスが多数存在する。例えば、元々ウーバーは都市内移動の需要に応えていたが、十分な鉄道網を持たないインドでは都市間移動の需要も高い。日本のハイヤーのような位置づけで、海外からの出張ビジネスマンが1日貸し切るのだ。炎天下で迎えの車を長時間待てない、渋滞のため時間通りに来られない。そういった特殊環境がカーシェアリングサービスの人気を下支えしている。

渋滞のなか病院に行くのが困難な病人向けには、スマートフォン経由で医者がオンライン診断を行い、処方された薬をそのままEC注文できる医療サービス・ドックスアップ(Docs App)が支持を集めている。

国のファンダメンタルに大きな影響を与える自動車市場や不動産市場においても、問題解決型イノベーションの存在感が強まっている。インドの自動車販売数は20年に600万台規模、世界第3位になるとされているが、中古車市場における標準化がこれまで進んでいなかった。そんな中、インド最大の新車・中古車売買マーケットプレイスであるドゥルーム(Droom)は、レビュー機能や車検業者のネットワークを整えた。買い手がコミットメントフィー(売買金額の2%)をドゥルームに支払うことで、購入前から互いの信頼を担保できる独特の仕組みも好評だ。設立当初から同社に出資しているビーノス創業者の佐藤輝英は言う。「カオスの代名詞のようなインド市場で、問題解決型イノベーションが次々と生み出されている」

市場規模が1,340億ドルに達した不動産市場では、C2C不動産マーケットプレイスのノーブローカー(NoBroker)が、これまでの商習慣を打ち破り、ブローカーを介さずに不動産オーナーと利用者を直接結ぶことで人気を集めている。

 この他にも、インドの特殊な環境や慣習を逆手に取って、ビジネスを立ち上げている起業家は枚挙に暇がない。例えば、ルモス(Lumos)はソーラーパネル搭載のバックパックを製作している。強い日照が得られるインドでは、太陽光発電に対する期待値は高く、携帯端末の電池問題に対する有効な解決策の一つとされている。また、サイズの合う欧米フォーマルウェアを見つけるのに苦労しているインドのキャリアウーマンに向けて、カーリア(Kaaryah)はインド女性の平均的プロポーションに対応した18サイズの衣服を提供した。

混沌としたインド市場ー。だが、それゆえに、起業家が効果的な課題解決ビジネスを生み出せば、その仕組みは急速に広まる。では、このビッグチャンスに対し、日本の投資家や起業家はどう関わっていけばいいのだろうか。出遅れた日本の取るべき道「インドは東を見よ(ルック・イースト)が私たちの政策です。新しいコラボレーションや資本を求める際、私たちはアジアを見てきました。ユニコーン9社中の3社が日本の出資者から成り立っているのを見てもそれがわかります」

インドを代表するアクセラレーターGSF創業者兼InnerChef共同創業者のラジェシュ・サハニ(Rajesh Sawhney)はそう話す。主要ITスタートアップに出資してきたソフトバンクは、その連携をさらに強めていく考えだ。

「出資企業内でのつながりを確立しようとしており、例えば、スナップディール創業者のクナル・バールをアリババのジャック・
マーに紹介し、アリババからスナップディールへのアドバイスもしています」(ソフトバンク広報)

文=土橋克寿

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