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テックジャーナリスト


「現在、GDPは日本の半分ほどで、まだまだインドのほうが遅れていると思われている方が多いでしょう。私もそうでした。ところが、スタートアップの世界では、その認識は変わってきます」

今年4月開催の「新経済サミット2016」におけるインドセッションで、ソースネクスト社長の松田憲幸はそう語った。15年、VCの投資金額において、インドは65億ドルで、アメリカや中国に次ぐ世界3番手。日本での投資額が10億ドル前後に留まる中、インドへの投資がなぜこれほど活況なのかー。

「成長する国力、高い若者率、英語の浸透。これら3つだけでも、今後もユニコーンが増えていくという結論が導かれる」(松本)

インドへの投資加速は、確かなファンダメンタルに裏打ちされている。人口12億9,000万人、24歳以下の人口構成比47%、英会話人口1億3,000万人、ソフトウェア開発者数520万人(18年予想)。そして、インドは22年に中国の人口規模を、24年に日本のGDPを抜くと試算されている。これら“巨大マーケット”と“タレント人材”というビジネス成長に必要な要素がすべて揃っているのが、今のインドだ。

「アリババ級の巨大IT企業も、インドから出てくるだろう」

インドに拠点を構えて投資活動を行う、リブライト・パートナーズ代表取締役の蛯原健はそう語る。インドの主要な統計数値は、数年前の中国と似ている。例えば、現在のインドのネット人口4億人は、中国の09年頃に相当する。しかも中国のようなネット
検閲システムがない。米国ファンドには中国のバブルに乗り遅れた反省もあり、外資系企業にも開かれたインド市場に注目が集まっている。

インドは東南アジアと比較されることも少なくない。だが、東南アジアで圧倒的なシェアを持つeコマース企業ラザダ(LAZADA)がアリババによって企業価値15億ドルで買収されたのに対し、インド最大規模のeコマース起業フリップカート(Flipkart)の企業価値は、一時150億ドルまで高まった。インドの潜在力が評価されているという意味で象徴的だろう。

次なるユニコーンと期待されるeコマース事業者デリヒブリー(Delhivery)CEOのサヒル・バルア(Sahil Barua)は、「シリコンバレーで働いている場合じゃない」と語るエンジニアに頻繁に遭遇するという。

昨今、シリコンバレーで最も多く働いているのはインド人であり、全体の30%ほどを占めている。グーグルやアップルの米本社で働くエンジニアも珍しくはない。そんな彼らが今、インドを目指し始めているのだ。

ベテランエンジニアの多くは、短期間でテックジャイアントになった組織で働いた経験を持つ。例えば、フリップカート共同創業者のサチン・バンサル(SachinBansal)は米アマゾン出身である。インドのエコシステムが、シリコンバレーウェイに近づきつつあるゆえんだ。ドゥルーバCEOのジャスプリート・シン (Jaspreet  Singh)は、インドで創業し、現在はシリコンバレーを拠点としている。その立場から、両者のエコシステムの違いについてこう語る。

「シリコンバレーのエコシステムはすべての観点において“成熟ステージ”ですが、インドは“アーリーステージ”といえる状況です。私の認識は、“まだステージが違う段階”ということで、インドのエコシステムの潜在力は非常に高いと感じています」

文=土橋克寿

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