「インドの起業家たちは総じて、常にハードワークで、倹約志向で、技術的な専門知識があります。彼らから感じ取れるのは“何かに没頭する意志の強さ”であり、世界的に成功するための才能を備えた“質の高い起業家”が多いと感じています」と話すのは、セコイア・キャピタル・インディアのパートナーであるモヒート・バトナガー。
また彼は、「最近の投資案件の大半は、モバイルをテーマとしたものでした。インドのネット市場は周辺環境が劇的に改善され、スマートフォンが消費者に受け入れられています。この恩恵を受け、決済・物流・データ分析なども期待値の高い投資領域となっています」と続ける。
実際、インドのスタートアップ全体の35%が、モバイルベースのデリバリーサービスに関わっている。これまで同社は、ミューシグマへの2,500万ドル(2011年のシリーズC、単独)、ドゥルーバへの6,700万ドル(10〜14年のシリーズA〜D、協調投資)、オラへの4,150万ドル(14年のシリーズC、協調投資)、ゾマトへの1億4,700万ドル(13〜15年のシリーズD〜F、協調投資)などと関わってきている。
グーグルやFBの採用担当がスカウトに––
「インド工科大学(IITs)で生き抜くためには、並外れた勉強が求められます。それが我々の“ハードワーク”に結びついていると思います」。IITs卒業生であるドゥルーバCEOのジャスプリート・シンはそう語る。
IITsとは、工学と科学技術を専門とする16の国立大学の総体で、その研究水準・理工系人材は世界トップレベルと評されている。全体の入学者は毎年1万人ほどだが、競争率100倍以上で、ハーバード大学よりも難しいとされる狭き門だ。
IITs卒業生をスカウトするため、グーグルやフェイスブックの採用担当者らがキャンパスをひっきりなしに訪れている。初任給1,000万円超えのオファーも珍しくないが、そういった道を選択せず、起業する若者が増えてきた。
ピックマイランドリー(Pickmylaundry)創業者のガウラヴ・アグラワル(Gaurav Agrawal)は、IITs卒業生としてこう語る。
「インドのユニコーンの多くがIITs出身者で構成されていることや、世界有数の投資家たちが彼らに投資している事実も、IITsのパワフルさを物語っています。インドでスタートアップについて言及する時、それはIITs出身者を指すといっても過言ではありません」