「1回の投稿で最大限に儲けることが狙いです。できるだけ多くのフォロワーに自分のウェブサイトにアクセスしてもらおうと努力しています」と語るディッカーソンは、ダイエットやワークアウトのプログラムを販売するウェブサイトを運営。インスタの投稿経由で顧客をサイトに誘導している。
彼の元にはフィットネス以外の様々な広告掲載のオファーも舞い込むが、彼はこれを断っているという。
「稼ごうと思えばもっと稼げます。歯のホワイトニング剤を宣伝する代わりに大金をオファーされたこともあります。でも、広告に合わせて投稿の内容を変えれば、ユーザーは離れてしまう。だから他の商材の広告は断るのです」
Zanna Van Dijkも成功しているフィットネス系インスタグラマーだ。フォロワー数は11万8千人と、ディッカーソンの10分の1未満だが、アディダスやマイクロソフト、トミー・ヒルフィガーなどとのスポンサー契約で大きく稼いでいる。
「企業側からプロフィールに掲載したメールアドレスに連絡がきたことが始まりでした。最初は商品の宣伝になる投稿をすると商品をもらえるといった形でしたが、フォロワー数が増えるにつれてコラボレーションの話やプロジェクトへの参加も増えました」
数多くの人々がSNS界のスターを目指して努力しているが、必ずしも成功するとは限らない。最近、フォロワー数が500人に満たない筆者の友人の妻のもとにある企業から打診があったそうだ。同社の健康ドリンクと共に写った写真を掲載してくれたら製品をプレゼントすると言われたらしい。
こういった企業はインスタグラムだけでなく様々なSNSで同様のオファーを行っている。そしてインスタグラムに掲載した写真がツイッターやフェイスブックに転載されることも多い。
SNSで広告を掲載する場合は、広告であることを明記しなくてはならない決まりがある。アメリカでメディア広告を規制する連邦取引委員会(FTC)は、SNSにおいて報酬を支払ったにもかかわらず広告と明示していない投稿が増えていることを受け、ガイドラインを2015年に更新した。
百貨店のロード・アンド・テイラーは2015年3月、50人のインスタグラマーに対して報酬を支払い、同社の衣服を着た写真に“OOTD(今日のコーディネート)”というハッシュタグをつけて投稿させた。しかし広告だと明示しなかったため、FTCのルールに違反したとして訴えられた。