谷本:リスクやコスト面からも、ラスベガスの不動産が好まれているのですね。
ジアード:はい。また、ラスベガスは節税対策にも有効な地域といえます。アメリカには連邦税・州税・市税がありますが、ラスベガスには州税と市税がありません。
年間居住日数など一定の条件を満たすことで、個人・法人問わず15%もの税金が免除されるんです。
法人であれば100億円程度、富裕層の個人でも10〜20億円もの節税ができるため、eBayやシティグループのほとんどが移転してきましたし、企業トップのような富裕層が数十億円で住宅を購入し移住してきています。
富裕層向け住宅の需要が増えることを、私以外、誰も予想していなかったので、高級物件の市場は私がシェア6割を占め、コントロールしています。
谷本:法人が移転してくれば、雇用も生まれますし、更に地域としては活性化が見込まれますね。
ジアード:おっしゃるとおりです。ラスベガスには年内に中国から電子自動車のバッテリー工場が移転してきますし、世界一大規模なメディカルコミュニティが完成する予定なので、2016〜2017年は建設に携わる人だけでなく、医者や看護士、工場や施設周辺の店舗などにおいて雇用も大幅に増加し、それに伴って居住用の不動産も増えると予測しています。
現在、ラスベガスの人口は200万人を超えました。マイアミやサンフランシスコなど同規模の都市の中で、最も人口密度の高い都市です。
ラスベガスは砂漠が多いので、どんどん開発して街を拡張できるのでは? という人もいますが、街の中心地は岩山に囲まれた小さな盆地です。山は政府所有の土地なので住宅を建設できないですし、建築可能な土地の8割は既に開発されているので、実はこれ以上大幅に街を大きくすることができません。
その狭い土地に200万人が密集して住んでいるので、人口密度が高いんです。
雇用も人口も増えることが予想されるのに、サンフランシスコと比較すると現在の住宅価格は4分の1程度です。需要と供給を考えると、今後確実に住宅が足りなくなる、つまり不動産価格がどんどん上昇すると容易に想像できますよね。
フィリッペ・ジアード◎Appleton Properties CEO。2013年、ウォール・ストリート・ジャーナルが選ぶ「全米不動産ビジネスパーソン250」において13位を獲得。ラスベガスにおいて1位のアメリカ不動産王。自らエンジニアの資格を持ち、開発からプランニングを手がける。過去には大手開発会社責任者を務め、総額2000億円以上の開発プロジェクトを成功に導く。
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