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2016.08.09

経済規模は5億ドル以上、侮れない米国人の「パンプキンスパイス」嗜好

Nataliya Arzamasova / shutterstock.com

秋のフレーバーといえば、すぐにパンプキンスパイス味が頭に浮かぶ――少なくとも食品業界のマーケティング担当者たちは、それを期待している。だがあの味を恋しくなってももう、枯れ葉が舞い落ち、冷たい風が吹きつけるのを待つ必要はない。

米食品大手のケロッグは8月1日、パンプキンやキャラメルなど秋のフレーバーの新たなシリーズ商品の発売を発表した。期間限定の販売する「季節商品」だという。

新商品に含まれるのは、パンプキンスパイス朝食バーやクランチ、フロステッド・キャラメルアップル味のポップタルト(タルト生地でジャムなどのフィリングを挟んだもの)や、「不気味なマシュマロ」が入ったハロウィーン版のチョコ味コーンフロスティなど。このほかにも、シリアルやクッキー、それにパンプキンが挟まったポップタルトなどの秋向けフレーバー商品が登場する。

北半球では、焼きトウモロコシ、トマトや桃など夏の食べ物がメニューに載り始めたばかり。秋のフレーバー商品の発売は、あまりに早いように思える。

しかし、パンプキンスパイス味の勢いは、弱まる気配がない。もちろん、この味における王様といえば、スターバックスが2003年に発売したパンプキンスパイスラテが挙げられる。2016年はいつから発売になるのかについて同社からまだ発表はなく、ウェブサイトにも「取り扱い終了」としか記されていない。

だがここ数年、パンプキンスパイスラテは9月の第1週頃に再販が開始されており、熱心な顧客は正式発売の前に特別コードの発行を受けている(このコードを店員に告げると正式発売前でもパンプキンスパイスラテを購入することができる)。

またスターバックスは2016年3月に、自宅でコーヒーを入れるのが好きという人々のために、パンプキンスパイス味のKカップ(コーヒーマシン用カプセル)を開発する計画だと発表。これもこの秋の発売が期待されている。

パンプキンスパイスはあまりに一般的になり、今ではフレーバーをつけることのできるあらゆるものに取り入れられている――ベーグルにマフィン、アイスクリーム、コーヒーにドーナツなどの商品だ。さらにはヨーグルトもビールもあるし、食べるよりも“吸い込む”方が好きという人のためには、芳香剤やキャンドルもある。

フォーブス誌のクレア・オコナーは2015年、市場調査会社ニールセンのデータを紹介した。アメリカ全域のスーパーマーケットとコンビニエンスストアにおけるパンプキンフレーバーの食品やグッズの総売上高は、2011年から80%近く増加して、2015年に3億6,000万ドル(約366.5億円)を超えたというデータだった。

このデータには、スターバックスがパンプキンスパイスラテで得る推定1億ドル(約101.8億円)の収益や、そのほかのコーヒー会社がパンプキンスパイス味の商品から得る収益は含まれていない。

つまり、オコナーが言うところの「パンプキンスパイス経済」は軽く5億ドル(約509億円)を上回る規模なのだ。ケロッグが競合他社より一足早くスタートを切りたい気持ちも、よく分かる。

編集=森 美歩

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