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MITメディアラボ第4代所長・伊藤穰一(アーロン・コトフスキー=写真)

あらゆるものをインターネットが変えたように、デジタル通貨、その基盤技術ブロックチェーンも社会の構造をがらりと変える可能性を秘めている。進化する“最先端の未来像”とはー。

「ブロックチェーンには、インターネット並みのインパクト、そして多くの機会とイノベーションを解き放つポテンシャルがある」

そう話すのは、MIT(マサチューセッツ工科大学)メディアラボ(*1)所長・伊藤穰一。日本のインターネット黎明期から活躍し、その“未来の可能性”についていち早く言及した人物だ。日本初の商業用インターネット接続サービスの立ち上げから、ツイッター社への出資と日本進出のサポートまでとその実績は枚挙に暇がない。

インターネットが社会の構造を変えると予測し、その発展と並走してきた彼が、現在MITメディアラボで取り組んでいるテーマがビットコイン(*2)に代表される「デジタル通貨」とその基盤技術である「ブロックチェーン(*3)」だ。

伊藤はメディアラボ内に、暗号技術や分散システムの専門家を集めた組織「デジタル通貨イニシアチブ」を2015年4月に新設。デジタル通貨やブロックチェーンの研究や、普及に向けた政府機関への提言などを行っている。

デジタル通貨とブロックチェーンは、どのようなインパクトを社会に与えるのかー。その最前線、そして来るべき未来について語る。



私がいま注目しているブロックチェーンとは、信頼できる仲介人なしに、見知らぬユーザー同士での取引を実現する可能性を持った、ピア・ツー・ピア技術を用いて管理する「分散型台帳テクノロジー」だ。

インターネットの革新性が、メールというアプリケーションの便利さによって理解されたように、ブロックチェーンの技術的価値は、ビットコインの登場によって、広く知られるようになった。

今後、ブロックチェーンは通貨に限らず、セキュリタイゼーション(証券化)、契約、資産譲渡などあらゆる取引や処理を担う、信頼できる低コストのネットワークとして普及し、抜本的に社会の構造を変えていくだろう。

例えば、ブロックチェーンを使ってインドの太陽光エネルギーを証券化する。そうすれば、この証券は、太陽光を販売している業者と見ず知らずの購入者との間で、エンド・ツー・エンドで直接取引が可能となる。もちろん、購入者はブロックチェーンを使って、さらにその証券を売買することもできる。この一連の取引には、仲介業者は一切不要だ。

このように、ブロックチェーンは、従来のビジネスの様々なレイヤーにもたらす“中抜きの効果”ー特定の中央管理システムを経由しないルートをつくる、価値を扱う複雑なシステムをシンプルにする、複数の業務を自動化し業務コストを削る、直接参加型の新しいサービスをつくるなどーによって、コストや手間の削減を実現し、あらゆる取引をスマートにしていくことが期待されている。すでにアメリカでは証券取引所や社債市場に一部ブロックチェーンが導入されるなど、ブロックチェーンによる社会の変革は確実に進行している。

かつてインターネットが、メディアや広告ビジネスの仕組みを激変させたように、これからはブロックチェーンが銀行、投資家、弁護士、商社、ロジスティクスといったあらゆるアクターにインパクトを与えることは、まず間違いないだろう。

*1 MITメディアラボ/「テクノロジーと人間の関係性」をテーマとした学際的な研究を行う機関として、1985年に設立された研究所。伊藤穰一は、2011年9月に同研究所の第4代所長に就任している。

*2 ビットコイン現在、最も大きな取引規模を持つデジタル通貨。また、基盤技術・ブロックチェーンによる取引を株券や債券など、通貨以外に拡張する動きは「ビットコイン2.0」とも呼ばれている。

*3 ブロックチェーン暗号技術とP2Pネットワーク技術を応用した、データの改ざんがほぼ不可能な分散型台帳システム。2009年にサトシ・ナカモトを名乗る人物によって、論文で公開された。

文=Forbes JAPAN編集部

 

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