建設プロジェクトの発注主であるサウジアラビア財務省は、同国の大手建設会社サウジ・ビンラディン・グループ(SBL)の重要顧客。当然、政府の行動はSBLに直接的な影響を及ぼす。原油安の影響で政府は「プロジェクトの中止・中断や支払いの延期」をし始めており、SBLも打撃を受けている。
ガルフ・ビジネス誌によれば、さらに状況を悪化させたのが、メッカにある聖モスクでSBLの工事用クレーンが転倒した事故だ。この事故で107人が死亡し、SBLは「その後、国からの一切の契約受注を禁じられた」。財政破綻を回避するため、SBLでは従業員のリストラを断行、複数の重要プロジェクトの作業を停止した。もちろん、ここにはアブラジクダイも含まれる。
アブラジクダイには2015年以降、大きな注目が集まっている。その理由は、まず客室数でマレーシアのファーストワールドホテル(7,351部屋)やラスベガスのMGMグランド(5,044部屋)を超え、世界最大のホテルになること。さらに施設内には70のレストランやフードコート、バスターミナルやショッピングモール、会議場や宴会場が含まれる。
4つ星と5つ星の宿泊施設を備えた12の塔は5つのフロアがサウジ王室専用で、屋上ヘリポートも4つある。まさに贅を尽くした施設だ。
そのため、聖モスクからも近い同ホテルの建設計画には、特に年1回のメッカ巡礼(ハッジ)に訪れる巡礼者たちから多くの批判の声もある。
たとえば、イギリスを拠点とするイスラム遺産研究財団のイルファン・アルアラウィはガーディアン紙に対して「高級ホテルに向かう道を空けるために、あらゆるものがどかされている。それがあの場所の神聖さを台無しにしている。それに宿泊料金は、大部分の巡礼者にとって支払えない値段だろう」と語った。