その可能性も十分にある。これらの雇用主は、新規採用者に前職ではなく新たな仕事に見合った金額を支払うことで、該当の仕事の市場給与水準(=相場額)を更新することにも貢献してきたのだ。
新規採用者の過去の給与額が相場より低く、かつそれを知らなかったからといって相場より低い給与金額を提示してわずかな節約をするよりも、ずっと重要なことだ。
従業員に対して相場以下の給与しか支払わず、その給与額と相場額に格差ができると、別の雇用主にチャンスを与えることになる。新たな雇用主は、相場額を支払うだけでその人材を奪うことができるからだ。競合に対して、自社の有能な人材を盗むチャンスを与えるのは、優れたビジネスのやり方ではない。
マサチューセッツ州の同一賃金法が、新たなトレンドを巻き起こすかどうかはまだ分からない。それでも賢明な雇用主と彼らを支える採用担当者たちは今後、従業員の過去の給与額を重視する代わりにこう自問するようになるだろう。「この人物が今後はわが社にどれほど価値があることをしてくれるだろう?」