シストロムが初めてフォーブスの表紙に登場したのは2012年8月。当時の彼は、インスタグラムをフェイスブックに10億ドル分の株式とキャッシュで売却したばかりだった。当時のインスタグラムの利用者は3,000万人だったが、売上はゼロだった。
その後の4年間で、フェイスブックとインスタグラムは成長をとげ、シストロムは再び米国版フォーブスの表紙を飾ることになった。フォーブスはシストロムの資産額を現在11億ドル(約1,126億円)と推定している。
フェイスブックがIPOを果たしたのは2012年の5月。その1か月前にマーク・ザッカーバーグはインスタグラムの買収計画を明らかにした。条件は現金3億ドルとフェイスブックの未公開株2,300万株。株と現金の合計で10億ドルだった。
シストロムがインスタグラムを立ち上げたのは2010年10月。当時の社員はわずか13名だった。買収提案を受けた際に、彼はインスタグラムの株式の40%を保有しており、フォーブスは2012年8月号で彼の資産総額を4億ドル(約410億円)と試算していた。
4年前の資産額は287億円
しかし、買収手続きが完了する9月上旬にはフェイスブックの株価は18ドル付近まで下落。結果的にインスタグラムの買収金額は7億1,500万ドルになった。その後発行された「フォーブス400」特集号ではシストロムの資産価値は2億8,000万ドル(約287億円)まで下落していた。
それから4年後、フェイスブックの株価は500%以上の上昇を遂げ、シストロムの2億8,000万ドルの資産は11億ドルにまで膨らんだ。シストロムは2014年9月にウォルマートの役員会に加わり、小規模ではあるがウォルマートの株式も保有している。
シストロムは過去にフェイスブックの創業メンバーに加わるチャンスがあったが、この機会を逃している。2005年、スタンフォード大学の4年生だった彼にザッカーバーグは声をかけ、大学を中退して創業間もないフェイスブックに写真サービスを提供しないかと持ちかけた。しかし、シストロムはこれを断り、その後、インスタグラムの元となるチェックインアプリBurbnを作成した。シストロムは自身のアプリを立ち上げる前、コーヒーショップに勤務し、そこでザッカーバーグにコーヒーをサーブしたこともあったという。
シストロムの資産額と同様にインスタグラムも2012年の買収以来、着実な成長を遂げている。月間アクティブユーザーは5億人を誇り、フォーブスはインスタグラムが仮に独立企業だった場合、その企業価値を最大500億ドル(約5.1兆円)と推定している。