「水を使わず石から紙をつくる」スタートアップ・TBM、日本発世界へ

(c)TBM


ーー最後に今後の展望を教えてください。

まずは、素材の研究を地道に進めていくつもりです。現在は、まだ素材の持つポテンシャルのほんの2〜3%しか引き出せていないと考えています。LIMEXは今後、紙や石油の代替物として普及する方向と、プラスチックなどいろんなアプリケーションとして活躍する方向が考えられます。

そもそも素材事業というのは“ローテクなもの”です。少しずつ丁寧に費用と時間をかけて研究を進めていけば、どちらの方向においても素材革命を起こすことはできると信じています。現在でも、資金と人材さえ揃えば、仕掛けていきたいアイデアは豊富にあります。

今後は、我々と一緒に世界にこの素材を広めていきたいという人々と、チームを組むことで事業を前進させていきたいと考えています。

また、LIMEXを必要としている国に対して、技術と工場を輸出していくことは、実現するべき大きなミッションです。そのために、まずは国内工場で技術を蓄積します。将来的には自国にLIMEXの工場の導入を希望する方に投資をいただき、技術の輸出先の国に産業と雇用の創出を実現することを目指していきます。

そして、そういった地道な事業の先に思い描いているのは、LIMEXの工場が世界中に広がることで、水、石油、森林の枯渇という人類の抱える問題の解決に貢献する未来です。この壮大なビジョンの実現に向けて、これからも事業に邁進していきたいと思います。

※TBMの米国進出の詳細については「Forbes JAPAN」10月号(8月25日発売号)で掲載します。

文=山本隆太郎

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