ハイパーループ・ワン、初の工場設立 2017年のプロトタイプ完成目指す

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イーロン・マスクが発案した次世代型超高速交通機関を実現するために設立された「ハイパーループ・ワン(Hyperloop One)」が、ラスベガスに初めての工場「ハイパーループ・ワン・メタルワークス」を設立した。2017年に完成予定のプロトタイプ“Devloop”で使用する金属製のチューブなどの部品を製造するという。

ハイパーループは、マスクが2013年8月に発表した次世代型交通機関で、金属製のチューブ内を真空状態にして最大時速700マイル(約1,100キロ)で物や人を運ぶ。ハイパーループ・ワンによると工場はアメフトのフィールド2つ分の広さがある。

ハイパーループ・ワンの共同創業者で社長のJosh Giegelは「工場はハイパーループのテストを続けるにあたり不可欠であり、ハイパーループを実現する取り組みにおいて重要な資産です」との声明を発表した。建設費は公表されていない。

Giegelは今年7月に、2014年にハイパーループ・ワンを共同創業したスペースXの元エンジニアであるBrogan BamBroganの後任として就任した。

「社内クーデター」の内紛も発生

BamBrogranは退任後、ハイパーループ・ワンの幹部が「縁故主義に満ちた独裁的な支配体制を築き、会社の貴重な資金を無駄にした」などの疑いがあるとして懲罰的損害賠償を求める裁判を起こしている。共同創業者で著名投資家のShervin Pishevarやロブ・ロイドCEO、取締役で投資家のジョー・ロンズデールなどが名指しされている。

これを受けハイパーループ・ワンは7月19日、「社内クーデターを起こそうとした」として、BamBrogranと3人の元社員を提訴した。被告が勧誘禁止契約や非競争契約を破り、機密情報を漏えいした損害賠償として5,000万ドル(約51億円)以上、懲罰的損害賠償として2億ドル(約204億円)を求めている。この件についての新情報は発表されなかった。

ハイパーループ・ワン(旧ハイパーループ・テクノロジーズ)は2014年に設立されて以来、1億ドル(約102億円)以上の資金を調達している。Pishevarが所有するベンチャーキャピタルSherpa CapitalもシリーズAとシリーズBの投資ラウンドに参加した。ハイパーループ・ワンは5月に公開テストも行っている。

ハイパーループのコンセプトは2013年8月、マスクが58ページに及ぶ資料で明らかにしたものだ。カリフォルニア州に建設予定の高速鉄道に反対するマスクは、ハイパーループを開発する時間がないため、アイデアを“オープンソース化”したという。

スペースXはエンジニアリングを専攻する大学生を対象にアイデアを募っているが、マスクやマスクが所有する企業はハイパーループ技術の開発を進めている企業と直接的なつながりは持っていない。

編集=上田裕資

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