ビジネス

2016.07.31

米ヤフー「残留資産」の行方 アリババの子会社化説も浮上

(Photo by Alex Wong/Getty Images)


今後の鍵を握るのはアリババ

会計サービス、ロバート・ウィレンズLLCの創業者でコロンビア大学ビジネススクールの教授を務めるロバート・ウィレンズは、「この問題を解決する鍵はアリババが握っている」と指摘する。

ウィレンズが考える手法は複雑だ。まず、アリババに興味を持ってもらうために、ヤフーはヤフージャパンの株式を処分する必要がある。売却益は課税対象となるが、その額はアリババ株とは比較にならないほど少ない。その後、アリババは自社株式だけを保有するヤフーを株式交換により子会社化し、取得した株式をそのまま子会社に残す。

「双方の株主が株式の所有権を移転しただけで、ヤフーはアリババ株を売却するわけではないので、法人レベルでの課税は発生しない」とウィレンズは説明する。

ヤフーのマキナニーは、ウィレンズ案の可能性を否定していない。また、この取引きは、アリババにとってもメリットがあるとアナリストらは指摘する。それは、課税問題に揺れるヤフーの時価総額が、保有株の時価に比べて割安だからだ。

「アリババがヤフーから自社株を買い取るとしたら、時価よりも安い価額での買収を求めるだろう。その場合、ヤフーはアリババの要求を飲まざるを得ないのではないか」とモーニングスターのアナリスト、アリ・モガラビは話す。アリババは本件に関するコメントを拒否している。

一方、北京大学のギリス教授は、「アリババはジャック・マーが完全に支配しており、今のところ自社株の保有比率を高めるニーズは少ない」と述べ、アリババが自社株を買い取る可能性は低いと分析している。

編集=上田裕資

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