ポケモンGOを作った男、ジョン・ハンケ独占取材 「忙しすぎてレベル5」

Photo by Aurélien Morissard/IP3/Getty Images


ハンケは別のゲーム会社を設立して2000年に売却後「Keyhole」という、地球上のあらゆる場所の衛星画像を閲覧できるソフトを提供する企業を立ち上げた。この会社が地図サービスの開発を進めていたグーグル幹部の目にとまり、エリック・シュミットやセルゲイ・ブリンらと面談。幹部らはKeyholeのソフトを使い、部屋に居た全員の自宅の庭をズームしてみせ、Keyholeの買収を決めたという。グーグルはIPO直後の2004年、Keyholeを3,500万ドルで買収した。

2005年にグーグルアースを立ち上げ

ハンケは当初数か月でグーグルを辞めるつもりでいたが、結果的には10年以上在籍し、地図サービスを担当する「Geoチーム」の責任者の一人として2005年にグーグルアースを立ち上げた。また、スティーブ・ジョブスを説き伏せて初代iPhoneにグーグルマップを搭載させることに成功した。ハンケの功績により、グーグルマップは検索サービスに次ぐトラフィックを稼ぐプロダクトに成長した。

しかし、2010年頃になるとゲームに対する情熱が再熱。地図とゲームを組み合わせた位置情報ゲームを開発したいと退職を願い出た。しかし、ラリー・ペイジに慰留され、社内で秘密のゲーム会社を立ち上げることにした。彼はこの会社を、1849年のゴールドラッシュ時に工夫たちをベイエリアまで運んだ船の名前に因んで「ナイアンティック・ラボ」と名付けた。

社内では低評価だったイングレス

その後、ハンケにとっては最初の位置情報ゲーム「イングレス」を2012年にリリース。コアなゲーマーには人気だったが、グーグル社内での評価は芳しくなかった。ハンケは2014年の春頃、より多くのユーザーを獲得するために、有名キャラクターを使った位置情報ゲームの開発を目指すようになった。

当初はマリオとドンキーコングが有力な候補だったが、ポケモンの名前も常に浮上していたという。ポケモンは1990年代後半に大ヒットし、ミレニアル世代なら誰でも知っている大人気キャラクターだ。ポケモン関連商品の累計売上は2016年5月時点で450億ドルに達する。

偶然にも、ハンケのグーグルマップ時代の部下でエンジニアの野村達雄が全く違う理由からポケモンを使ったプロダクトを密かに検討していた。野村が考案したのは、エイプリルフール用にグーグルマップを使ってポケモンを捕獲するサービスだった。彼は友人を通してポケモン社と面談の約束を取り付けた。ポケモン社の事務所はグーグル東京オフィスと同じ六本木ヒルズ内にある。「ポケモン社はすぐに我々のアイデアを気に入ってくれ、交渉らしい交渉はしなかった」と野村は話す。
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編集=上田裕資

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