しかし、IoTの規格を定める主要2団体が7月27日、手を組むことを発表した。グーグル傘下のネストが設立したスレッド・グループ(Thread Group)と、2月にインテルとクアルコムの提携で発足したOCF(Open Connectivity Foundation)が、互いのソフトウェアが連携することをアナウンスした。
OCFのマイク・リッチモンドは、両社のソフトウェアが担う役割は異なっており、直接競合しないと説明している。スレッド・グループが開発するThreadはデバイス同士が通信するネットワークプロトコルだ。一方、OCFが開発しているのはそのプロトコル上で動くソフトウェアだ。
アップルは独自規格HomeKitを推進
それぞれのプラットフォームの登録開発者数はThreadが240名以上、OCFは200名以上。重複する会員もいるが、両組織の技術を取り入れたデバイスはまだほとんど出回っていない。ネストの製品(サーモスタット、煙探知器、防犯カメラ)はすべてThreadに準拠している。OCFに関してはまだ製品が発表されていない段階だ。
IoT業界では規格の未整備が原因で市場が広がっておらず、その状況は1980年代のVHSとベータの戦いに例えられることもある。OCFはインテルとクアルコムがそれぞれ推進していた独自規格を統一した組織で、半導体業界のライバル同士が手を結んだという意味で意義深い。
IoTの規格統一を滞らせている一因がアップルだ。同社が発表した規格HomeKitは、エコビー社のサーモスタットやオーガスト社のスマートロックなど多数の製品に取り入れられている。
スレッド・グループの社長でありネストで主席ソフトウェアエンジニアを務めるグラント・エリクソンは、「IoTのマーケットはまだ若く、最善の方法を見つけようとしている段階です。時間がたてば統合も進むでしょう。1つの規格に統一するのは難しいかもしれませんが、市場が成熟するにつれて望ましい方向に進むはずです」との見解を示した。