テクノロジー

2016.07.27 17:30

時価総額13兆円が幻に 米ヤフーの栄光と衰退、22年の歴史


元グーグル重役のメイヤーはこの4年間ヤフーの再建に取り組んできたが、その迷走ぶりや経営判断のミスに非難が集中していた。ヤフーの業績がピークを迎えたのは初代iPhoneが発売された2008年で、それ以降は新しいサイトやアプリにユーザーを奪われ、トラフィックの減少に歯止めをかけることができなかった。

経営不振に喘いでいたヤフーがこれまで辛うじて存続できてきたのは、保有するアリババ株に負うところが大きい。ジェリー・ヤンは2005年に10億ドルを投じてアリババの株式の40%を取得した。これまでに一部を売却したが、現在の保有分の価値だけでも300億ドル以上とヤフーの中核事業の価値を大きく上回る。

2015年にヤフーは株主利益のためにアリババの持ち株を非課税でスピンオフする計画を立てたが、IRS(米内国歳入庁)の承認を得られずに断念した。それ以降、同社は数か月に渡って事業売却を模索し、買い手には様々な企業の名前が挙がっていた。今回売却する資産には、アリババやヤフージャパンの持ち株は含まれない。

専門家たちは長らくベライゾンを本命視してきたが、ビリオネアのダン・ギルバートとウォーレン・バフェットが別の入札者を支持したほか、イエローページの親会社であるYPホールディングスや投資ファンドのTPGなどもオファーを提出していた。しかし、最終的にヤフーのテクノロジーやウェブ資産を格安で手に入れたのはやはりベライゾンだった。

ベライゾンは、ヤフーを創業した頃のヤンやファイロが想像できなかったほどの勢いでネット接続者数を拡大している。インターネットの普及で急成長を遂げてきたヤフーこそ、本来その恩恵を受けるはずだが、逆にベライゾンに買収されてしまうというのは何とも皮肉な結末だ。

編集=上田裕資

タグ:

ForbesBrandVoice

人気記事