GMの広報担当ケヴィン・ケリーは同日、スーパークルーズが2017年にキャデラック TC6でデビューする際には、ドライバーが道路に注意を払っているかを監視するシステムも搭載することを認めた。
ロイスも「スーパークルーズを使用中にドライバーに健康上の問題が生じたり、ドライバーが車内で動いていなかったりした場合には、車のスピードを落として(車載情報ネットワークシステム)オンスターでサポートセンターにつなぎ、確認することができる」と話している。
自動運転機能について、テスラはマニュアルや宣伝資料でハイウェイの運転アシスト用と説明している程度だが、GMはより積極的な対策をとっている。マニュアルを読んであると仮定するのではなく、高精度地図データを基に“ジオフェンス(電波による柵)”を設置し、限定された道路以外では使えないようにしているのだ。
「業界として、路上のドライバーが自動運転に切り替える際の適切な物理的インターフェイスを実現できなければ、自動運転車は人間が運転する車よりも危険なものになってしまう可能性がある」とロイスは言う。
これこそ、業界内のすべてのデザイナーやエンジニアが直面している難題だ。ここで失敗すると、社会に大きなインパクトを与えられるはずの自動運転技術に対する消費者の信頼が失われかねない。
完全自動運転車の実用化はいつになるかという質問に対してロイスは、今年1月に配車サービスのリフトへ5億ドル投じることを発表した際に想定した「ジオフェンス型車両」の実現には、少なくともあと4~5年かかるだろうと回答。完全自動運転車の量産は、少なくとも10年先になる可能性が高いと語った。
シリコンバレーのテック企業においては「早いうちに失敗をしておけ」というのがお題目で、確かにゲームや検索エンジンなどの開発を行う上でのアプローチとしては、これは理にかなっている。
自動車業界も同様のことをしようとしている。しかし22日のサミットにおいては、「自分たちの開発には人の命がかかっている」というのが参加者の共通認識として持たれていた。GMをはじめとした自動車メーカーやサプライヤは今、最先端の革新と最前線の痛みの正しいバランスを模索すべく、奮闘しているのだ。