良い企業が「偉大な企業」になれた理由を知る一冊

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各界のCEOが読むべき一冊をすすめる本誌の連載「CEO’S BOOKSHELF」。今回は、マイネット創業者の上原仁社長が、経営者としてのあり方について記された『ビジョナリーカンパニー2 飛躍の法則』を紹介する。

少年時代のあなたの夢は何でしたか? 今のあなたは、その夢を叶えているのでしょうか?

私は、小学生の頃からずっと「経営者になる」ことを夢見ていました。きっかけは、松下幸之助の伝記に書かれていた、「松下電器は『人』をつくるところです」という言葉です。

松下氏の生き方を知り、「優れた経営者になれば、人を幸せにすることができる」のだと学んでからは、どこの学校に行き、何を勉強したらいいのかなど、経営者になることだけを考えて進んできたような気がします。

しかしながら、起業とはこれまでにない新しい常識をつくり上げることです。何度も壁にぶつかり、もうお終いだと覚悟したことも一度ではありません。今もなお、変わり続ける「正解」を探し求めているように感じています。

そんな時に手にとるのが、起業の準備中に読んだ本書、『ビジョナリーカンパニー2 飛躍の法則』です。

ベストセラー『ビジョナリーカンパニー 時代を超える生存の原則』の約6年後に発売された本書は、前書にはなかった「良い企業が偉大な企業になれた理由」がまとめられています。4冊あるシリーズの中で最も経営者に読まれているといわれています。

なぜなら、常識だと思われていた経営理論に「意外な発見」や「間違い」があったことに加えて、分析結果を努力して続けていれば、自社も偉大な企業へ飛躍できると思わせてくれるからでしょう。例えば、リーダーシップと聞くと強烈なカリスマ性をイメージするかもしれませんが、実は物静かで内気で、恥ずかしがりやにすら見える、「謙虚さと不屈の精神」を持ち合わせたリーダーこそが、良い企業を偉大な企業に変えてきたというのです。

起業して10年。マイネットには優秀な人が集まり、ゲームのセカンダリ市場という新しいマーケットを創造し、圧倒的なリーディングカンパニーとしてゲーム市場を活性化できる環境を整えてきました。良い企業だと言ってくださる方もいるでしょう。

でも、企業としての真価が問われるのはここからです。良い企業から偉大な企業へと飛躍するために、優秀な人をつなげ、活かし、付加価値をうみだせる組織にしていかなくてはなりません。

経営者になるという夢は叶いましたが、夢の本質は「人を幸せにする企業をつくること」です。そのために企業として在り続け、形を変えることも必要になるでしょう。

本書は、時に道しるべとなり、自分の考えを裏付けてくれる存在です。これから先も何度も読み返し、読むたびに新しい気づきと勇気を与えてくれるはずです。経営者はもちろん、起業を目指している方々も読んでおくべき一冊です。

title:ビジョナリーカンパニー2 飛躍の法則
author:ジェームズ・C・コリンズ
data:日経BP社 2,200円+税/360ページ

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上原仁 うえはら・じん◎1974年生まれ。98年に神戸大学経営学部卒業後、NTTに入社し、同社のインターネット事業開発に従事。2006年7月にマイネット・ジャパン(現マイネット)を創業し、同社社長に就任。15年12月、東京証券取引所マザーズ市場に上場した。

文=Forbes JAPAN編集部

この記事は 「Forbes JAPAN No.24 2016年7月号(2016/05/25発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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