ある中国共産党関係者は、中国共産党にとって、元幹部の家族の面倒を見ることは必要な責務だと話す。立派な党務なのだ。
元幹部の家族たちは、外交や軍事、経済といった国家の大事に関わる党の秘密を知っている。年月を経て、元幹部の家族はすでに、子や孫の世代になっている。現在の中国でしばしば「紅二代」「紅三代」などと呼ばれる人々だ。
万が一、彼らが貧困に陥るなど、困難な状態に陥った場合、生活の安定と引き換えにそうした秘密を外に漏らさないとも限らない。元幹部の家族を保護するということは、国家や党の秘密を守ることになり、ひいては共産党体制を維持することにつながる。
一方、そうした人々と関係を構築するということは、共産党による彼らに対する保護によって、党とつながり、その恩恵に預かるということになる。「紅い」人物と密接な関係を築くことこそが、企業として成功するための秘訣だと言ってもいい。その恩恵を受けるためであれば、大きな見返りを求められたとしても惜しくはないと考える企業がほとんどだろう。
中国では現在、一見したところ共産党とは何ら関係のなさそうな民間企業が次々と頭角を現しているような印象が強い。しかしその実、共産党のテコ入れなしに企業が発展することはまず望めないのだ。有名な民間企業が人知れず、あの手この手で「紅いコネクション」づくりに躍起になっていたとしても不思議ではない。