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2016.07.22

外国人不動産投資家として何が求められるのか[海外不動産投資術 第3回]

マレーシア・イスカンダル計画を象徴する建造物「コタ・イスカンダル」


イスカンダル計画の中心開発地であるイスカンダルプテリ地域(昨年ヌサジャヤから名称変更)は2006年の開発当初は熱帯ジャングルやパームオイルの農場でした。現地の人のプロジェクトに対する思いと、投資家の勇気のある行動によって、数年で見違えるような都市に変貌しつつあります。現地の人に新しい雇用や機会を生み出し、地域が成長することで、投資家も大きなリターンを得られるのです。

単に買って、売って利ざやを稼ぐだけの投資であれば、不動産でなくても良いと思います。株式市場などのペーパーアセットの方が流動性も高く、現地経済に与える影響も小さくなります。不動産投資は性質上、現地の経済や現地の人々と密接に関わっているということを理解していなければなりません。外国人不動産投資家が利益だけを求めて投資を行い、現地の人を困らせるのはあってはならないことです。

もちろん、これは投資家だけの責任ではありません。現地で開発などを行うデベロッパーにも責任があります。利益追求に走った乱開発、販売価格をつり上げる業者にも問題があります。しかし、そういった状況に安易に乗ってしまう投資家にも同様に問題があるといえます。何のために投資を行い、それによって現地にどのような影響を与え、どのように貢献し、何を得たいのか、それを投資家各々が意識する必要があるのです。

二宮尊徳が言った「道徳を忘れた経済は、罪悪である。経済を忘れた道徳は寝言である」という言葉を、投資家自身も考えてみるべきです。道徳をもった海外投資家が誠意のある投資をすることを、現地の人々は求めています。

先進国の人が途上国に投資するのであっても、上から目線で自分たちの価値観を押しつけるのではなく、相手の文化も尊重した上で、現地の人が我々の良いところを進んで取り入れてくれるよう振る舞うべきです。海外投資家が現地の人と不動産を通して交流することで、相互の理解が深まり、互いに良いところを取り入れながら共に成長していけるのが望ましい関係といえるのです。

【連載】海外不動産投資術 第1回、第2回はこちら>>

文=當麻 智

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